応援を呼ぶのは間に合わないと判断したクリスさんは、自らの足で羊のいる場所に向かい、救助することにした。ジリーさんはその場に残り、岩場の方へ下りていったクリスさんに上から正確な羊の場所を伝えるという連携プレーで救助は進んだ。当時の様子を捉えた写真には、先端が鋭く尖り、非常に足場の悪い岩の表面を慎重に歩くクリスさんの姿があった。
クリスさんは、「昔、ロッククライミングをやっていて自信があったので、自分で救助を試みるのが最善だと思いました」と話しており、万が一のことが起きた場合には、ジリーさんが助けを呼べるように備えていたという。
羊は近寄ってきたクリスさんを見てパニックになり、一度は海の方へ逃げようとしたが、クリスさんが羊を捕まえて落ち着かせることができた。助けを求めるように目を向ける羊を見たクリスさんは、重さ50キロはあると見られる羊を肩に担ぐようにして、来た道を戻り始めた。岩場を歩くことに自信のあったクリスさんだが、「岩はギザギザと尖っていて、足場にできる場所は限られていましたので、羊を担いで戻る道を確保するのは非常に大変でしたね」と救助の苦労を振り返った。
安全な足場を探しながらゆっくりと進み、クリスさんは約30分かけて羊を安全な場所まで運ぶことができた。ジリーさんは「救助直後、羊は地面に横になっていました。以前、私たちは農家を営む友人を手伝っていたことがあり、羊が横になっていると心臓発作を起こす可能性があると知っていましたので、羊の頭をさすって立つように促しました。立ち上がった羊は数歩ほど歩くと、近くの草を食べ始めました。お腹が空いていたんでしょうね」と無事に救出された羊の様子を説明した。
続けてジリーさんは、「羊は端の方の草を好んで食べる傾向があるのです。ちょっと間抜けなので、良さそうな草があれば、とにかくその草を食べに行くんです」と救出した羊が窮地に陥ってしまった原因を推測した。
危険を冒してまで羊を救出したクリスさんは、偶然通りかかって救助を見守っていた人々から大きな拍手をもらった。ジリーさんが救出の様子を撮影した写真をFacebookに公開すると、「まさにヒーローだね」「勇気ある行動だ」「よくやった!」「これは簡単にできることじゃないよ。素晴らしい」などクリスさんへの称賛のコメントが多数寄せられた。
ちなみに2021年2月にはアイルランドの山で、2週間迷子だった大型犬を登山客が発見し、担いで下山していた。
画像は『Jilly Oxlade-Arnott 2023年8月7日付Facebook「Chris Oxlade-Arnott rescued a sheep today!」』『Cornwall Live 2023年8月10日付「Legend risks life to rescue sheep stranded on rocks」(Image: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)