現地時間7月20日の朝、米オハイオ州のコロンバス動物園水族館(Columbus Zoo and Aquarium)の飼育員は我が目を疑った。4年前から飼育しているニシローランドゴリラの“サリー(Sully、8)”が、生まれたばかりの赤ちゃんゴリラを抱いていたのだ。それまで飼育員は、サリーが妊娠していたことに全く気付かなかった。それどころか妊娠・出産するはずがないと考えていた。というのも、サリーはオスとして飼育されていたからだ。米ニュースメディア『CNN』『Spectrum News 1』などが伝えている。
コロンバス動物園水族館は、1956年12月に世界で初めて飼育下でゴリラの誕生を迎えた動物園で、以来67年間、世界トップクラスのゴリラの繁殖プログラムと保護育成活動で知られてきた。サリーの出産とジェンダーカミングアウトは、そんな同園に舞い込んだ二重のサプライズだった。
しかし毎日世話をしているゴリラのプロが、なぜ妊娠と性別に気付かなかったのか。
実は若いゴリラの性別を見分けるのは難しく、8歳頃まではオスとメスはほぼ同じ大きさで、外性器も目立たないそうだ。大人のオスの特徴的な頭部の隆起や銀色の背中などは、12歳以降に現れるものだと園は説明する。そのため8歳のサリーの外見がオスっぽくなくても不思議ではなかったのだろう。また生まれつきお腹が大きいゴリラは、妊娠してもお腹がほとんど目立たないという。
2019年に、サリーと母親の“シャリア(Shalia)”はウィスコンシン州のミルウォーキー郡動物園(Milwaukee County Zoo)からコロンバスにやって来た。譲渡当時、サリーは4歳、母親は17歳だった。この時に、獣医によってサリーはオスだと確認されたが、若くて健康なサリーには、医学的なリスクが伴う麻酔をしてまで詳しい検査をする必要がなかったようで、