海外発!Breaking News

writer : yukke

【海外発!Breaking News】トラウマを負ったシャチによる復讐か スペイン沖でシャチの群れがヨットを襲う<動画あり>

今度は2頭の小ぶりなシャチが並走し、ヨットの下に潜り込んでいった。

「動画では、群れの中心となる母親役が子どものシャチのそばで舵に攻撃をしているのが分かります。その後、メスのシャチは後退し、小さな子どものシャチたちが試すように攻撃してきました。」
「それは間違いなく何らかの教育であり、指導が行われていたのです。」
「私たちは(メインマストの帆以外を降ろし、スピードを落として)できるだけ、彼らの興味をひかないように心がけました。」

そのようにグレッグさんは明かしているが、1時間にわたる攻撃の末、ヨットの速度が低下すると、シャチたちは興味を失ったのか去っていったそうだ。

セーリングの講習を受けるため、ババリア46号に乗船していたジャネット・モリスさん(Janet Morris、58)とスティファン・ビッドウェルさん(Stephen Bidwell、58)夫妻は、当時の様子をこのように語っている。

「甲板の下にいると『シャチだ!』という叫び声があがりました。」
「私たちは鋼鉄でできた22トンのヨットに乗っているのだと何度も自分に言い聞かせましたが、3頭のシャチが同時に、素早く群れを成して向かってくるのを見るのは、気が遠くなるものでした。」
「明らかに大きなメスのシャチが必ず周囲にいて、(小さなシャチを)監督しているようでした。」
「この経験から、自然とその力に畏敬の念を抱きましたよ。」

その後、ババリア46号は何とかタンジェに帰港できたが、舵やヘルムチェーンが2本切れるなど大きな損傷を受けており、被害額は約112~126万円(8000~9000米ドル)に上った。

生物学者によれば、シャチが船を狙う理由は、縄張り意識、防御行動、あるいは遊び行動などの可能性が考えられるそうだ。

しかしポルトガルのアヴェイロ大学の生物学者で「大西洋シャチ作業部会(Atlantic Orca Working Group)」の代表でもあるアルフレド・ロペス・フェルナンデスさん(Alfredo López Fernandez)は「これらの攻撃は“ホワイト・グラディス(White Gladis)”と呼ばれるメスから波及したもの」として、次のように指摘した。

「(船との接触か、違法漁業者の網にかかって)トラウマを負ったシャチが船との物理的接触という行動を始めたのだろう。」
「“重大な苦痛”によりグラディスは船に対して攻撃的になり、その攻撃的な行動は他のシャチにも真似されている。」
「グラディスの行動は、復讐ではなく“予防策”として学習した行動であり、他のシャチもそれにならっているのだろう。」

スペイン海域でのシャチの攻撃的な活動は、2020年5月にイベリア半島沖で始まった。

同年9月に29頭のシャチによる攻撃が記録されたことを受け、スペイン当局は同国の北西端からの船の出航を禁止しているが、これまでに数百件に及ぶ被害報告があがっており、3隻の船が沈没している。

画像は『9News 2023年5月9日付「‘There’s something down there’: Moment sailor realised boat was being ‘attacked’ by apex predator」(Greg Blackburn)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)

シャチによる攻撃を受けるも無事に帰港して安堵の表情を見せたグレッグさん(左)。ただしヨットの被害総額は約112~126万円に上ったそうだ(画像は『9News 2023年5月9日付「‘There’s something down there’: Moment sailor realised boat was being ‘attacked’ by apex predator」(Greg Blackburn)』のスクリーンショット)

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