関係者は次のように明かしている。
「ジーンズのフロント股の部分を5つのボタンで留める“ボタンフライ”(上前の端を隠しボタンにするため、ボタン止めの部分を二重構造にしている)やボタンのスタイル、形、大きさも現在のリーバイスとほぼ同じなのです。技術的にはまったく同じではないとしても、私たちはこれほど作りが同じなのは偶然ではないと思っています。」
しかし「SS セントラル・アメリカ号」が沈んだのは、リーバイ社が1873年にジーンズを作り始めるよりも16年前のことだった。
そのことからリーバイ社でビンテージジーンズを収蔵したアーカイブ・ルームのディレクターを務めるトレーシー・パネク氏(Tracey Panek)は、次のような見解を述べている。
「このパンツはデニム製ではなく、リベットやジーンズの後ろについているパッチがなく、ボタンにもリーバイスを特徴づけるものがありません。よってリーバイ社のものでもなければ、鉱山労働者のワークパンツでもないと思います。」
このジーンズがリーバイ社のものか否かは明らかになっていないが、沈没船の回収調査を指揮した科学者で歴史家のロバート・D・エヴァンス氏(Robert D. Evans)は、オークションカタログに「酸素濃度の低い環境で保存されていたため、シミはあるがしなやかで驚くべき状態です」と綴っており、いずれにしても希少価値が高いものであることに変わりはないようだ。
ちなみに1988年に発見された「SS セントラル・アメリカ号」は、カリフォルニアのゴールドラッシュで発掘された大量の金の延棒、金塊、金貨などを輸送していたことから「金の船」と呼ばれており、この船から見つかった残りの品々は2023年2月にオークションにかけられる予定だという。
画像は『The Daily Star 2022年12月17日付「156-year-old rotting jeans salvaged in shipwreck sold at auction for more than £100k」(Image: Holabird / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)