他の5人とあまりのレベルの差に大変なショックを受けたという。彼らは作家が書いた台本通りに演じることはなく、それぞれが自分でアイディアを膨らませてキャラクターを演じるのだが、野沢にはそれができなかったのだ。それまでどこの現場でも何気に言ったことが大ウケで、“向かうところ敵なし”状態だった彼女が初めて味わった挫折。「私は何もできない」「全然面白くない」と打ちのめされた野沢は、『夢で逢えたら』以外の番組にも自信を持って臨むことができなくなってしまう。悩んだ彼女は事務所に「仕事を休んで、ニューヨークで勉強がしたい」と申し入れ、1年という約束で了承をもらい、その3、4か月後には渡米したと三谷氏に説明していた。
だが野沢と同じように、清水ミチコも『夢で逢えたら』でダウンタウン、ウッチャンナンチャンと共演し、「私は、面白い」と天狗になっていてへし折られた―と過去に語っている。彼女は進学のために岐阜県から上京し、ラジオ局でバイトをしていた時にやっていたモノマネが評判となり、それからトントン拍子に渋谷のライブハウスに出演するようになった。すると清水の“毒”のあるモノマネが「面白い」と、各局のテレビ番組から出演依頼が殺到。その勢いで『夢で逢えたら』のレギュラー入りが決まったのだが、彼らから実力の違いをまざまざと見せられ「私はもうダメだ」と相当落ち込んだという。しかし清水の場合は悩みに悩んだ結果、「過去の自分を捨てて、今まで自分のやらなかったことに挑戦してみよう」と決意し、やったことの無かった“顔マネ”に挑戦し新境地を開いていったのだ。
野沢はそのままアメリカから戻らず、現地の男性と結婚し3人の子の母となった。その後、子供の夏休みを利用して“出稼ぎ”と称し、日本に帰国して働くようになったのだ。今年の8月31日の野沢の公式ブログには、「コロナ禍で日本帰れなくて、たぶんこの人に一番会いたかったと思う。笑笑」と清水ミチコが紹介されている。野沢直子が日本を離れてから約30年になるが、2人の友情は変わることはない。
画像は『naoko nozawa 2022年8月31日付Instagram「3年ぶりに会えた~」、2022年11月17日付Instagram「YouTube、街録ch 出ました」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 みやび)