統合失調症と診断された32歳の男性が、1歳の甥と寄り添いながら映画を観る動画が多くの人の心を捉えて拡散している。男性は病気で多くの友人が離れていき、甥を心の拠り所にしているという。純粋で温かい魂の触れ合いを『Daily Record』『The Mirror』などが伝えている。
スコットランドのクレイルに住むアレクサンダー・アダー・シェファードさん(Alexander ‘Adder’ Shepherd、以下アダーさん、32)は、統合失調症と診断されてから多くの友人を失った。
統合失調症とは考えをまとめることができなくなり、幻覚や妄想などの症状が現れたり、感情表現が乏しくなり意欲が低下したり、記憶力や判断力が低下するなどの認知機能障害が現れる脳の病気で、アダーさんは10代の終わり頃から症状が現れ始めた。
アダーさんの妹ジョゼフィーヌ・クミネさん(Josephine Cumine、31)によると、アダーさんはへその緒が首に巻きついて誕生し、12歳の時には脳の周りを覆っている髄膜に炎症が起きる髄膜炎を患ったという。また大学在学中はバーの椅子で頭を強打されており、常にメンタルヘルスの問題を抱えていたそうだ。
看護師であり3児の母でもあるジョセフィーヌさんは「兄は非常に知能が高く、統合失調症と診断を受ける前は大学で数学と物理学を勉強していました。しかし病気のせいで大学を修了することはできなかったのです」と語ると、このように続けた。
「我が家では昨年7月、末っ子ボー(Beau、1)が誕生したのですが、近くに住むアダーは息子をとても気に入り、コロナの規制が緩和されるとほぼ毎晩訪ねてくるようになりました。」
「決まったパターンを好むアダーは、午後7時にやってくるとボーと一緒に寄り添いながら映画を観ます。こぶた一家のアニメ『ペッパピッグ』や映画『ジュマンジ』など、これまで一緒に観たのは100以上にもなりました。」
なおジョセフィーヌさんは9月下旬、2人の微笑ましい「ムービーナイト」の様子を編集、TikTokに投稿するとこんな言葉を添えていた。
「兄は普段、あまり感情を表しません。でも息子は、兄と一緒に過ごすことが一日のうちで一番大好きな時間になりました。ボーは兄以外の人とは、ああやってじっと座っていることはないのです。」
「一方のアダーは、我が家に来る時に必ずチョコレートを持ってきて、ボーに『君は本当にスウィートだね(可愛い)』と言うのです。2人は一緒にいるととても幸せなのです。」
動画のなかのボー君は哺乳瓶を片手に持ち、