「偶然通りかかったクマだろう」と思っていたという。ところが何度も振り返ってこちらを確認していたというそのクマが、深くソフトな音色でうなり声をあげた。スタッフは、この声は母グマが子グマを呼ぶものだとすぐに察したという。
車に轢かれたのは正午頃とされており、スタッフが母グマと遭遇したのは午後6時のことだった。母グマは動かなくなった我が子のそばを、6時間経っても離れなかったのだ。
子を呼ぶために何度も苦しそうにうなり声をあげる母グマと、その呼びかけに反応することのない子グマとの間で、スタッフは何もできずに立ち尽くした。
辛い光景を目の当たりにしたスタッフは急いで荷物をまとめると、道路にリモートカメラを設置したという。
「毎年、車に轢かれたクマの数が報道されていますが、数字だけではイメージが湧かないのです。私が目にしたように、こうした数字の裏にある悲しい現実を見てほしいのです。」
「どうか覚えておいてください。ヨセミテ国立公園に訪れることは、数えきれないほど多くの動物たちの家の訪問者になるということを。ルールを守り、動物たちを守ることは私たちに委ねられているのです。」
「制限速度を守って注意して運転し、野生動物たちに気をつけましょう。ヨセミテ国立公園のブラックベアーを守ることは、私たちにできることなのです。」
この投稿に添えられた写真には、静かに横たわる子グマの横で母グマが悲痛な表情でカメラに視線を送る姿があった。
このたびの投稿は多くの人の心に触れ、今月24日の時点で8.3万件を超える「いいね!」が寄せられており、コメント欄には以下のような声が届いている。
「本当に胸が痛む話だ。人間は動物たちにも感情があり、愛や悲しみを感じるということを忘れているよ(もしくは認めたくないのかな)」
「なぜ公園内で急ぐ必要があるのか理解できない。私はゆっくりと景色を楽しみたい」
「野生動物たちのテリトリーに入っているのだから、リスペクトしないと」
「こんな悲しい出来事がたくさん起きているなんて、辛すぎる」
画像は『Yosemite National Park 2021年7月17日付Facebook「Speeding Kills Bear」』『Sydney Goosen 2021年7月17日付Facebook「Thank you for your story and giving this cub’s shortened life a purpose.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)