映画『セブン』『ファイト・クラブ』などで知られる映画監督デヴィッド・フィンチャー(58)が、映画『ジョーカー』は「精神的な病を抱える人に対しての裏切り」だと暗にほのめかした。フィンチャー監督は、ハリウッドの大手スタジオのリスク回避的な制作戦略について明かすとともに、トッド・フィリップス監督作品の『ジョーカー』が興行収入で驚くほどの成功を収めたことを振り返った。
2019年に公開した米映画『ジョーカー』は、DCコミック『バットマン』の人気ヴィラン(悪役)ジョーカーの人生を描いた作品だ。トッド・フィリップス監督による同映画は大ヒットし、第92回アカデミー賞では同年最多となる11部門にノミネートされた。ジョーカーを演じたホアキン・フェニックス(46)は、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞などで最優秀主演男優賞を受賞した。
7000万ドル(約73億円)以下の予算で制作された『ジョーカー』は、10億ドル(約1040億円)の興行収入を記録。評論家から多くの高評価を得たものの、精神疾患を取り扱ったことについては賛否両論だった。
映画『セブン』などを世に送り出したデヴィッド・フィンチャー監督は、このほど『The Telegraph』のインタビューに応じ「スタジオは、10億ドルを稼ぎ出せない作品は制作したくないんだ」と明かすも、時には挑戦的な題材がサポートを得ることはあるとし、『ジョーカー』は『ダークナイト』の例があったからこそ制作にこぎつけることができたと示唆した。
『ジョーカー』でホアキンが演じた主人公のアーサー・フレックは、脳の障害により緊張すると笑い出すという病気を抱えるキャラクターだ。病弱な母親と2人暮らしで、コメディアンになることを夢見ながら道化師として活動していた。しかし周囲から過酷な仕打ちが続き、次第にバットマンの宿敵「ジョーカー」へと変貌していくのである。
そんな『ジョーカー』のキャラクターについて、