生きていくために生後6週から輸血が欠かせなかった4歳男児が、骨髄バンクに登録していた見ず知らずの女性から造血幹細胞移植を受けた。移植を受ける前の母親と息子の胸を揺さぶられる会話、そして女性がドナーとなったきっかけなどについて『USA TODAY』『InspireMore.com』などが伝えている。
米ペンシルベニア州フィラデルフィアに住むニコラス君(Nicholas、5)は、輸血が必要な重度の貧血をもって生まれ、生後6週で初めての輸血を受けた。ニコラス君の病気の治癒には造血幹細胞移植が必要で、両親は医師に「『移植を受ければ95%の確率で病気は完治し、これ以上の輸血の必要はなくなるでしょう』」と言われていたものの、移植をするかどうかの決断を下せないでいた。
母のカテリーナさん(Catherina)は「移植前のニコラスは3週間に一度、約8時間かけて輸血を受けていました。治療はニコラスのみならず家族にとってもかなりの負担になっていたのですが、移植が成功しない5%のことを考えると私は怖くてしかたなかったのです。移植の必要性や安全性については、第2、第3の意見も聞いて回りました」と当時を振り返る。
ただ、そんなカテリーナさんの背中を押したのはニコラス君本人だったそうで、カテリーナさんは当時3歳半だったという息子との会話について次のように明かした。
ニコラス君「ママ、僕が今死んだらどうなるの?」
カテリーナさん「ニコラス、そんなことは二度と言わないで。」
ニコラス君「ママ、僕が死んだらどうなるの?」
カテリーナさん「あなたは今すぐには死んだりしないわよ。でももし死んでしまったら、天国に行くの。」
ニコラス君「天国に行っても、病院に行って輸血をしなくちゃいけないの?」
カテリーナさん「いいえ。天国では輸血は必要ないの。」
ニコラス君「それなら僕は天国に行くよ。」
カテリーナさん「ママは、あなたが天国に行ってしまうなんて考えられないわ。」
ニコラス君「天国に行けないのなら、僕は病院に行ってちゃんと病気を治してもらいたい。」
「胸が張り裂けそうな思いだった」というカテリーナさんは、