新型コロナウイルスによる経済の打撃は大きく、国際労働機関(ILO)は2020年第2四半期中に世界中の労働時間の6.7%が消滅、およそ1億9500万人のフルタイム労働者が職を失うことに相当すると発表した。そんななか南アフリカで、失業中でありながらも笑顔を絶やさず、ユーモアを生かしたメッセージで人々の優しさに出会った男性がいる。『TimesLIVE』などが伝えた。
南アフリカでも多くの人が労働時間の短縮、失業という困難に直面しており、ルシンディソ・マルガスさん(27)もその一人だ。東ケープ州出身のマルガスさんはケープタウンの工場内で梱包作業をしていたが、このたびの新型コロナウイルスの影響により職を失った。最初は労働日数を減らされて給料を減額されていたのだが、会社もこれ以上雇い続けることができないとしてマルガスさんを含む多くの人を解雇したという。
そこで3人の子供を持つマルガスさんは、お金を稼ぐためケープタウンの路上で物乞いを始めることにした。ケープタウンの道路では、信号待ちの運転手に物乞いや物売りをしている。その多くは「家族がいて、仕事がない。助けてほしい」といったメッセージを掲げているが、見飽きている運転手は興味を持たず、マルガスさんも始めは全くうまくいかなかったそうだ。「なぜ私がここにいるのか、何をしているのかを理解してもらえなかった」と落ち込んだというが、ダンボールに書かれた彼のメッセージを面白いと思ってくれる運転手が何人かいたため続けることにした。マルガスさんのメッセージは、幼い頃から人を笑わせることが好きだった彼ならではのもので「ランチに行こう、あなたが払ってね」、「いつでも毎日スマイル無料」、「20ランドくれたら、ラマポーザ大統領に投票しないよ」など、生活の困窮を訴えていない内容だった。
そのうちにマルガスさんは、