アフガニスタンで長年、医療活動やかんがい事業に取り組んでいた中村哲医師(73)が、東部ナンガルハル州を車で移動中に武装した男達の銃撃により殺害された。12月4日、あまりに突然で衝撃的な出来事が報道されると日本中が悲しみに包まれ、女優の吉永小百合やノンフィクション作家の澤地久枝さんなど著名人が追悼コメントを寄せている。そんななかロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称アジカン)でボーカル・ギターを担当する後藤正文もTwitterで「ショックだ…」と沈痛な思いを明かした。
中村哲さんは1946年に福岡県福岡市で生まれ、九州大学医学部を卒業して医師となった。1983年9月に中村さんのパキスタンでの医療活動を支援する非政府組織ペシャワール会(福岡市)が発足。中村さんは1984年5月にペシャワールの病院に着任してハンセン病の治療やアフガン難民キャンプの巡回診療など医療活動を行い、数々の診療所や病院を各地に設立した。
やがて病気を減らしたり、難民問題を解決するには水が必要だと考えるようになり、2002年にはアフガン東部のかんがい用水事業に着手して農村復興のための「緑の大地計画」をスタートした。
そうした活動を続け、約1600本の井戸を掘ったり復旧させ、通した用水路・給排水路を合わせると100km以上になるという。2010年に全長25.5kmの用水路を完成させたことで約3,000haの荒廃地が農地となった。
一方で2008年8月には現地スタッフの伊藤和也さん(当時31)が武装勢力に拉致されて亡くなり、