「医師らはできる限りのことを全てやってくれた。それでもフランシーンを救うことが出来なかった。優しかったあの子は、きっと臓器提供に『いいよ』と言ってくれるに違いない」―そう気持ちを切り替えて厳しい現実を受け入れたのだった。
事故から5日後の12日、フランシーンちゃんとのお別れの日がやってきた。ハナさんはフランシーンちゃんの髪に最後の編み込みをしてそっとキスをし、「知ってる。ママは大丈夫だからね。私たち、みんな大丈夫だから。あなたは先に神様のところに行くだけよ」と優しく語りかけた。
その後バレー・チルドレンズ病院の医師、看護師、スタッフ、友人、そして家族が廊下に並び、臓器ドナーに敬意を示す「最期の見送り」が行われ、手術室に向かうフランシーンちゃんを見送った。
手術室に入る扉の前では家族がベッドを囲み、病院スタッフがフランシーンちゃんを送り出す言葉を贈った。ハナさんはフランシーンちゃんの手を握り、涙をこらえながらその言葉に聞き入った。そして最後にフランシーンちゃんに黙とうが捧げられると、儀式は静かに終了した。
フランシーンちゃんからの命のリレー(贈り物)で救われたのは臓器移植を待っていた6人で、75人の患者が何らかの形で関わり合い、治療を受けている。
ハナさんはある日突然、10歳の娘を失ったことについて次のように述べている。
「フランシーンはダンスをすること、歌を歌うこと、絵を描くこと、走ること、旅をすることが大好きで、ママとパパと一緒の時間を過ごすことを何よりも楽しみにしていました。シェフになることが夢で、自分のことよりも他の4人のきょうだいのことを気にかける、優しく温かい気持ちを持った子でした。」
「コットンウッド・クリーク小学校で新5年生として登校することを楽しみにしていた娘が、10歳の若さで旅立っていきました。若すぎる死を受け入れることは、言葉では言い表すことができないほど辛く悲しいものです。私たち家族の心は粉々に砕かれてしまいました。それでもフランシーンはこれからもずっと私たち家族や友達の心の中で生き続け、愛され続けていくでしょう。彼女と過ごした10年間は本当にかけがえのないものでした。」
なお州全体を管轄するカリフォルニア・ハイウェイ・パトロールによると、事故を起こした運転手は非故意故殺罪によって起訴される可能性が高いという。
画像は『The Sun 2019年8月23日付「GUARDIAN ANGEL Hospital staff form honour guard for dying girl, 10, whose donated organs helped 80 people after car wreck on her way to buy ice cream」(Credit: gofundme)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)