鉛中毒の恐ろしさについて『The Dodo』にこう語っている。
「鉛によって神経系が冒された鳥は、脳や筋肉だけでなく身体の全ての運動能力に影響が現れます。徐々に身体が衰弱し、立つことさえできなくなり、呼吸困難に陥るのです。くちばしを開けることもできず死に至ります。」
「オレゴンのセンターでは2016年に160羽の鳥の調査を行っていますが、ワシの80%、タカの30%、アメリカワシミミズクの25%の血液中に鉛が発見されました。また保護して治療を施しても、頭部を真っ直ぐ保つことができず身体が麻痺したイヌワシが命を落とすことは珍しくありません。鉛弾でなくても狩猟は可能であるにもかかわらず、いまだに広く使用されていることに憤りを感じます。」
この調査結果はオレゴン州のものであるが、猛禽類はかなり高い確率で鉛に汚染されていることが分かる。アメリカでは2017年、当時の大統領バラク・オバマ氏が任期が切れる直前に、米魚類野生生物局が管理している連邦政府の所有地での鉛弾や鉛の釣り具の使用を禁止した。しかしその2か月後、当時の内務長官ライアン・ジンキ氏が再び使用を認める決断を下していた。
『The Guardian』によると、鉛弾の使用についてスポーツハンティング愛好家らは次のように述べている。
「鉛弾は数百年にわたり狩猟で使用されており、代替弾は費用が高くつきます。イヌワシの生息数が減少しているとすれば、鉛弾だけではなく生息地の減少や風力発電など他の要因もあるはずです。ハンターが残していった肉片や臓器が環境に大きな影響を与えるのであれば、土に埋めて処理するなどの方法をとることも可能なのです。」
しかし、イエローストーン国立公園の調査に携わる研究員や野生生物学者らはこのように主張した。
「鉛中毒が深刻な問題になっているのは誰もが知るところです。ただ今回の調査で、イエローストーン国立公園のように野生動物が保護されている区域に生息する鳥たちにも、鉛の被害が広がっていることが明白となりました。公園内でのイヌワシの数はいまのところ安定していますが、生殖能力が低下しています。今年の初めには新たに5羽のイヌワシに無線送信機が装着されました。まだ調査は始まったばかりですが、公園の境界付近で行われている人間の活動によって希少な生き物が死に至る可能性があることを多くの人に知ってもらいたいと思います。」
画像は『The Guardian 2019年4月16日付「Pioneering golden eagle found poisoned in Yellowstone」(Photograph: Courtesy the National Park Service)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)