エヴァン君の体内に鎮静作用がある薬剤ベナドリルが残留していることが判明し、警察はエヴァン君が薬と一緒に致死量に至る塩を摂取させられていたことを突き止めた。
逮捕・起訴されたスティーブンとミランダの公判では、検察側が2人の自宅の防犯カメラからエヴァン君に対する虐待を示す証拠となる16,000枚もの写真や映像を収集し、法廷で提示した。ミランダについては求刑の軽減を条件に司法取引をすることで、検察側はスティーブンの犯行を聞き出した。ミランダは、スティーブンが普段からエヴァン君を部屋で投げ飛ばしたり殴る蹴るの暴力を振るっていたことを証言。また、エヴァン君は亡くなる数日前から、スティーブンによる暴行が原因で倒れ、起き上がることもできないほど具合が悪かったとも発言した。
エヴァン君の父カルロさんは、息子が母親のもとで虐待されていた間、少なくとも6回は当局へ虐待の兆候があることを知らせており、エヴァン君の親権を得ようとしていたという。エヴァン君が亡くなる前も数週間にわたって息子に会うことや話すことを試みたが、ミランダやスティーブンに拒否され続けていたそうだ。防ぐことができた虐待であるにもかかわらず、最悪の結果となってしまった。
第1級謀殺罪、児童虐待、加重誘拐、加重暴行の罪に加えて子供を加重に危険に晒した罪と物件への犯罪被害で10月に有罪判決が下されていたスティーブンは12月10日、カンザス州セジウィック郡の裁判所で109年と6か月の懲役刑が言い渡された。判決を下す前、スティーヴ・ターネス判事は「被告の犯行は、臆病で卑劣で最低最悪のものだ」と発言。法廷では終始表情を変えることがなかったスティーブンだったが、判決を聞いた時だけわずかに顔をしかめて見せた。法廷にはカルロさんとその身内が傍聴席に座っており、エヴァン君のおば2人はこの事件がどれほど家族に苦痛を与えたかを打ち明け、エヴァン君がどんなことが好きでどんな子供であったかを涙ながらに語った。
大切な家族を奪われた被害者遺族にとって、加害者にどんなに長い刑期が言い渡されても、失われたそのかけがえのない命はもう戻ることはなく苦悩は続くことだろう。判決を聞き終えたカルロさん一家は静かに涙し、その後カルロさんはこのように話した。
「私の息子は、多くの子供たちが想像するような邪悪なモンスターに殺されてしまいました。どうしたら子供にここまでの残酷なことができるのか…あの男は生きる価値がない奴です。ですが、もう刑務所から出てくることはありません。これで、他の人や子供たちがあの男に傷つけられる心配はないので、判決は望んでいたものとなり、満足しています。」
なお、今回のスティーブンへの判決はカンザス州法では最長の懲役刑であり、最初に求められていた刑期よりも約41年長い刑期が下された。また、ミランダは第2級殺人罪で起訴されており、検察側は懲役27年を求刑しているが判決は1月に下される予定とのことだ。
画像は『The Wichita Eagle 2018年12月17日付「Stephen Bodine sentenced in murder of 3-year-old Evan Brewer」(Pool Video)』『Metro 2018年12月18日付「Killer jailed for 109 years for murdering boy, 3, and burying him in concrete」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)