不憫でならない気持ちでいっぱいだった。ワシントン大学の保全生物学の研究者で非営利団体「ワイルド・オルカ(Wild Orca)」の研究部長であるデボラ・ジャイルズ氏(Deborah Giles)は、次のように語る。
「タレクアがこのままでは体調を崩すのではないかと心配でなりません。現在20歳で繁殖適齢期の雌ですが、この種を存続させるためにもタレクアは欠かせない存在なのです。」
「おそらくこの1週間、何も食べていないのだと思います。この母子のことを思うと悲しくてしょうがありません。タレクアは大きな苦悩を感じていることでしょうが、この悲しみの先に何が起きるのか私にも分かりません。」
「子供は息を引き取ってから7日が経ちますが、未だ無傷で綺麗なままです。おそらく冷たい海水によって腐敗せずにいるのでしょう。また時折その子が滑り落ちて沈んでいくことがありますが、タレクアはそのたびに疲れた体にムチ打つように急いで海面で息を確保し、海中深く潜って我が子を連れ戻してくるのです。」
「もう見ていて耐えられそうにありません。タレクアはいつ、この悲しみを終わらせるのでしょうか。いずれタレクアが決断しなければならない時が来るでしょう。」
研究員らによるタレクアの調査は今も続いているが、観察がスタートしてから10日後の今月2日現在、二度と息を吹き返すことのない我が子をそばに連れて泳いでいるとのことだ。
画像は『The Seattle Times 2018年8月1日付「Grieving mother orca falling behind family as she carries dead calf for a seventh day」(Ken Balcomb / Center for Whale Research)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)