一部の生物学者によると人間以外に悲しみという感情を持つ生物がいるとのことだが、イルカやシャチも例外ではないと言われている。このほどカナダで、死んだシャチの赤ちゃんを頭の上にのせて一緒に連れて泳ぐ母シャチの姿が捉えられた。『The Seattle Times』などが伝えている。
カナダのブリティッシュコロンビア州沖合で先月24日、シャチが死んだ我が子を連れて泳ぐ姿が米ワシントン州に拠点を置くクジラ研究センターにより確認された。母シャチは個体番号からJ35またはタレクア(Tahlequah)と呼ばれ、絶滅危惧種に指定されているサザンレジデント・キラーホエールズ(Southern Resident Killer Whales)と呼ばれるシャチの群れ75頭のうちの1頭である。
発見当日にタレクアは400ポンド(約181.5キロ)の赤ちゃんを出産したが、その30分後に我が子が息を引き取ってしまった。しかしその子を放置せず頭の上にのせたり、フィンを使ったりして離れないように一緒に連れて泳ぎだしたのだ。
『The Seattle Times』によると、クジラなどの種は出産後に我が子が死んでしまった場合、一緒に連れて泳ぐことは珍しいことではないと伝えている。しかしながら研究員は、タレクアを観察してから3日目の時点で「これまで見た中で悲しみの時間が最も長い」と述べている。
すでにタレクアは、1週間以上も我が子の亡骸を連れて毎日6ノット(時速約11キロ)で60~70マイル(約96.5~112.6キロ)もの距離を泳いでいるとのことだ。タレクアの泳ぎは通常の速さよりも遅いため、群れから遅れをとっているがその家族らが交代で見守っているという。
タレクアを観察する研究員らは健康状態に影響があるのではないかと心配するとともに、