プロポーズに「生涯、君を愛する」と誓う人もいると思うが、このほどニュージーランドでコンクリート製のデコイ(鳥の模型)に対して、決して実らぬ恋を捧げたまま一生を終えてしまったカツオドリの話題が届いた。恋に落ちてしまった相手が相手だけに人々の心には切ない気持ちが湧いてしまったようだ。『Metro』『The Guardian』などが伝えている。
ニュージーランド北島、首都ウェリントンから約25キロにあるマーナー島は捕食者のいない自然が多く残る穏やかな島である。そのマーナー島には数羽のカツオドリが生息している。これは1976年に80体のコンクリートで作ったカツオドリのデコイを島の南西部に設置し、彼らを呼び寄せるという試みの賜物である。
実は島の本格的な自然再生プロジェクトが開始されたのは、1990年代に入ってからだった。近隣住民と自然保護団体「Friends of Mana Island、以下FOMI」、ニュージーランド自然保護局(DOC)らがタッグを組んで活動を始めたことによる。そして設置から37年経った2013年に2羽の雄が島にやって来たのだ。
2羽はナイジェルとノーマンという名前が付けられ、ボランティアの手により定期的に観察された。ナイジェルはデコイのカツオドリに恋してしまったようで、デコイに寄り添い甲斐甲斐しく巣を作り求愛の行動で彼女の愛を得ようする姿が見られた。『BBC News』によると5年近くもの間、ナイジェルはデコイの元を去ることはなかったという。
FOMIはナイジェルのためにも、雌のカツオドリを惹きつけるため鳥の鳴き声のするスピーカーを設置したり巣を移動するなどの試みを行った。デコイにおいては2016年にペイント修復され、その甲斐あって2017年12月に新たに3羽のカツオドリがやって来た。
しかし、ナイジェルの気持ちは他のカツオドリに向くことはなく、