すでに入院中の患者にわざと誤った薬剤を投与して心臓を弱らせ、心肺蘇生措置が始まったら自分こそが活躍する…これがその看護師のあまりにも身勝手で邪悪な計画であった。ドイツの病院に勤務していたなか薬剤過剰投与につき2015年に投獄されていた男の看護師について、とんでもない余罪の数々が明らかになった。記者会見を行った警察署長もこの男を「第二次世界大戦後まれに見る連続殺人鬼」と表現している。
鬼のような看護師による連続患者殺人事件の話題が報じられたのは、ブレーメンからすぐというドイツ北部ニーダーザクセン州のデルメンホルスト市およびオルデンブルク市の大規模な病院。2015年、容体が重篤な患者2名に指示のない心疾患治療用の薬剤を過剰に投与して死なせるなど、殺人と複数の殺人未遂で終身刑を言い渡されて服役中であったニールス・ホーゲル(40)。この元看護師の男についてさらなる余罪が明らかとなり、このほど追訴となったもようだ。
警察は専門家を交えた特別チームを組んでホーゲルが臨終に居合わせた患者数百名について、カルテや130以上の土葬された遺体を調査した。不正あるいは過剰に投与されたのは塩化カルシウム、抗不整脈薬のアジマリン、ソタロール、リドカイン、アミオダロンなど5種類。その投与が原因で死亡した患者は最低でも84名いるとみられ、ホーゲルは「自分の心肺蘇生措置で60名が息を吹き返した」などと訴えたが検察側は殺人および殺人未遂などの疑いで追訴。ホーゲルは2018年に再び法廷で裁かれ、断罪されるものとみられる。