ダウリーとは女性側が嫁入り時に用意するもので、インドの悪しき風習のひとつだ。夫やその家族は受け取ったダウリーで宝飾品、車、家電製品、出産準備品などを購入する。当然ながらダウリーの額で夫側の機嫌やその後の嫁の扱いが変わってしまうため、年頃の娘を持つ親にとっては大きな苦悩の種とされてきた。また持参金を用意できないほど貧しい家庭では、誕生した赤ちゃんが女の子だと「不幸の種」などと言われて実の親に殺されてしまったり、非常に幼い年齢で嫁に出されてしまう例もある。
夫のダルジートとは2年前に結婚していたミーナさん。彼女の実家は要求された通り70万ルピー(約122万円)の持参金をシン家に渡していた。この理不尽な持参金制度は1961年には法的に禁止されたが、昔ながらの封建的な村では実は今なお残っている。娘を持つ家庭の側が「行き遅れの娘がいるのは恥ずかしい。早く嫁にもらってほしい」「出戻り娘は恥ずかしい。仮に夫と死別しても離婚してもそこで暮らせるように」といった考えに縛られていることもダウリー問題がなくならない一因であるという。
インドの国家犯罪統計局によれば毎年約8,000人がこの持参金を理由に殺害されているといい、虐待の被害者は毎年約1万人。報告されない被害件数も多々あると見られ、特にインドの貧困地域に関しては世界の人権活動団体が監視の目を光らせている。
画像は『Metro 2017年7月17日付「Woman ‘beaten by in-laws with a hockey stick for giving birth to a girl’」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)