泉谷しげると言えば小室等・吉田拓郎・井上陽水とフォーライフ・レコードを設立した著名なフォークシンガーである。1972年に発表した『春夏秋冬』(作詞・作曲:泉谷しげる)は多くのアーティストにカバーされており、泉谷がアレンジを変えてセルフカバーしたバージョンは1989年放送のドラマ『あなたが欲しい – I WANT YOU -』(フジテレビ系)の主題歌に起用された。2013年大晦日、NHK紅白歌合戦に彼が初出場した際も新年に向け『春夏秋冬2014』と題して歌うほどの代表曲だ。
7月16日のトークバラエティ番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)にその泉谷しげるがゲスト出演し、『春夏秋冬』に絡めて興味深い話を聞かせてくれた。
テニスのウインブルドン選手権男子シングルス1回戦で敗れたオーストラリアのバーナード・トミック選手(24)が、試合後に「気持ちの面で試合する状態になかった。正直に言うとテニスに飽きていた」と発言して批判を浴びた。番組でその話題を取り上げたところ、ヒップホップグループ・スチャダラパーのBoseが「シンパシーを感じる」と言い出す。彼が大きなロックフェスに出演すると「皆の好きなワンオクロック! 後で来るから!」と自虐的に言ってしまう気持ちに似ているというのだ。
Boseのたとえに大ウケしながら松本人志は「テニスプレイヤーと我々芸人はちょっと違うのだろうが」と前置きして、「“飽きてからが本番”だというところは確かにある。ストレートに楽しんでいるうちはまだまだかな、マンネリした時にどう楽しむかが本当のプロなのではないか」という趣旨で持論を展開した。
女優の宮澤エマは松本の話から自身の体験を思い出す。以前、舞台の本番を前に通し稽古を重ねていた時のことだ。3回目の通し稽古が始まる直前にある俳優が「もう通し飽きたな~」と大声で言ったので、全員が沈黙して変な空気になってしまった。その後しばらくして宮澤はその俳優と食事する機会があり、その時のことを聞くと反省しながら「あの時は自分のなかで何かがおかくて、むしゃくしゃしたものを吐き出しちゃった」と明かしたそうだ。
誰しも胸のうちをつい口にしてしまうことはあるものだ。ただ、宮澤はテニスの試合でそれをやっては「自分が飽きていたから負けたのだというようなもので、相手の選手の価値まで下げてしまう」とバーナード・トミック選手の言動については批判的だった。