ケント州の“ドーバーの白い崖/ホワイト・クリフ”と呼ばれるドーバー海峡に面した崖の下で最近、転落したとみられる2遺体が見つかっていた。自殺した退役軍人スコット・エニオンさんの遺体を捜索するなか偶然に発見されたもので、2人のリュックサックには1984年に亡くなった父、そして2014年に亡くなった母の遺灰が入っていた。
遺体はその後ケント州検死局で確認が行われ、チェシャー州エルトンのあるキャラバンパークで暮らしていたバーナードさん、ミュリエルさんの双子の兄妹と判明した。昨年9月に彼らは地域の総合診療所に赴いて「母親の死後、精神的な落ち込みが強く失業中で生活に困っている。ウェールズの家を売却したお金でキャラバンを購入し、一緒に暮らしてきたが頼れる家族がいない」などと相談していた。
3か月ほどサイト利用料を滞納してキャラバンパークから姿を消したこの兄妹。12月25日に現場の付近から入った「岩陰に佇んでいる人が思いつめたような雰囲気だ」との通報で駆けつけた警察は、ミュリエルさんから「ドーバーの散策に来た」と告げられ、「特に心配する様子はなかった」と報告していた。兄妹は両親の遺灰を散骨する目的でその崖を訪れたなか不慮の転落にみまわれたのか、将来を悲観して自殺を遂げたのか、遺書も見つからないため答えは出ないという。
なおスコット・エニオンさんはマンチェスター郊外のラドクリフ出身で、1988~1996年に英国陸軍に籍を置き1991年に第一次湾岸戦争(イラン・イラク戦争)に赴任。しかし人種差別やいじめを受けて悩み、仲間たちの戦死を目撃したことで帰還後に「湾岸戦争症候群」を発症した。2016年10月にかかりつけ医に頭痛や体調不良を訴えた後、45歳でその崖から飛び降り自殺。こちらは監視カメラがその姿を捉えていた。
出典:https://www.theguardian.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)