スコットランドのインヴァネスで昨年9月23日の午後11時頃、友人たちと外出していたモーガン・マクリーンさん(16歳)は、スマホの画面に集中していたために目の前に車が迫って来たことに全く気付かなかった。
車に轢かれたモーガンさんは脳内出血と骨盤骨折を起こし意識不明の状態に陥った。この時、車を運転していたのは非番の医師であった。医師は救急車到着までモーガンさんが呼吸できるように気道の確保に努めた。到着した救急隊員は、モーガンさんを市内のレイグモア病院へ搬送したが、その後、救急ヘリで小児専門医の揃うエジンバラのロイヤル子供病院へと転院することとなった。その際、モーガンさんの脳出血が酷くならないようにと低空飛行がなされたという。
モーガンさんの母トリシアさん(36歳)は、救急隊員から「運転していた医師の素早い応急処置がなければ娘さんはまず助かっていなかった」と告げられた。「娘はスマホの画面に夢中で車が全く見えていませんでした。ただ、こういうことは誰にでも起こり得ることだと思います。娘を轢いた医師に怒りの気持ちは全くありません。むしろ、大切な娘の命を救ってくれたことにとても感謝しています。私たちは彼のことを何一つ知りません。でも直接会って、ハグして娘共々お礼を言いたいのです。娘が意識不明だった3日間は、私たちにとっては悪夢でした。娘が目覚めた時の安堵感というのは言葉になりません」と語っている。
その後モーガンさんは劇的な回復を見せ、現在はインヴァネス高校に元気に通っている。スコットランド警察によると、今回の交通事故でモーガンさんを轢いたウォルター・スコット・ドライブ医師は逮捕にはならなかったそうだ。
このニュースを知った人々からは「歩きながらスマホを見るということの危険性を、この子はしっかり学んだだろうね」「それにしても轢いた医師は気の毒だね。でもパニックにならずにすぐに応急処置ができて良かった」「轢かれたのが医師の車じゃなかったら別の結果になっていただろう。彼女は運が良かったね」という声が寄せられている一方で、「この少女は死にかけたのよ。なのに運転手が訴えられないってどういうこと!?」といった批判の声もあがっている。しかしそれに対しては、モーガンさん自身が「訴えようと思えばもちろんできますが、私たちはただ、命を救ってくれた人にとても感謝しているのです」とコメントを返している。
“歩きスマホ”が非常に危険な行為であるというのは周知の事実でありながら、画面に集中して周りに注意を払わない人はあとを絶たない。つい先日も、中国・北京のショッピングモールで歩きスマホをしていた女性が、噴水に自ら飛び込むというアクシデントが起こったばかりである。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)