5月16日深夜、薬剤の過剰摂取により死亡した英グロスターシャー州グロスターのマイケル・ジョーンズさん(59)と妻のリネットさん(56)。グロスター州検察当局は見つかった遺書や家族の証言、司法解剖の結果などから「病気を苦にした無理心中」と断定し、事件性はないものとみて一切の捜査を終了した。しかし、家族だけが知っていた夫妻の悲しい晩年の姿を『gloucestershirelive.co.uk』が伝えている。
夫妻はしばらく前からわが子の薬物依存問題に悩んできたが、そんなある時、マイケルさんは幼児性的虐待の容疑で逮捕・起訴されてしまった。ブリストル刑事裁判所で彼は一貫して無実を主張してリネットさんも夫を信じて支えてきたが、住み慣れた家から引っ越さなければならなかったことと裁判は相当のストレスになったもよう。マイケルさんは脳血管性認知症を発症してアルコール関連の転倒などを繰り返し、リネットさんは慢性腎臓病を悪化させ、うつに苦しむようになっていた。
性的虐待容疑の裁判についてはやがて陪審員が「無罪」の評決を下したが、それにもかかわらず夫妻は数週間後の5月16日夜、息子のスティーヴンさん、娘のレイチェルさんとその夫のダレン・ビショップさんが集合したウェストゲートにある自宅で睡眠薬を過剰に摂取し、自ら人生に終止符を打ってしまった。
深夜0時過ぎに床に向かうもなかなか眠れずにいる夫妻にレイチェルさんがカフェオーレを作って持っていき、そこで父のマイケルさんがイスから立ち上がれないことを知った。リネットさんもそんな夫と愛のキスを交わしながら「さようなら」と言い、見つめ合っている。夫妻に起きた異変を察知したダレンさんはすぐに救急車を呼んだが、2人の命を救うことは叶わなかった。
老いを意識せざるを得ない年齢になって、実に多くの問題を抱えてしまったジョーンズ夫妻。強い絆と愛で結ばれ力を合わせて生きてきたとしても、彼らの前に立ちはだかった問題はどれもあまりにも深刻過ぎたと家族は見ている。レイチェルさんは「父にとって晩年は生き地獄だったのでしょう。私たち子供にとっては本当に優しい父親でした」と話し、悲しみに暮れている。
グロスターシャーでは今から2年前、64歳の最愛の夫に9歳の少女に対する性的虐待行為が発覚し、妻である62歳の女性が線路に飛び込んで自らの命を絶っていた。逮捕時には容疑を否認していた夫だが、2日後に事実を認めたところ妻は自殺。夫には懲役3年の実刑判決が下っている。
出典:http://www.gloucestershirelive.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)