赤ちゃんが誕生したのはバングラデシュのマグラ県。シワシワな顔つきと荒れた肌に、医師はその両親に対して残酷にも「根本的な治療法のない早老症」と告げた。背中が真っ黒な体毛でおおわれていることもこの赤ちゃんの特徴だ。奇異の目を向ける近隣住民の視線に心折れることなく、両親はその子の誕生を「奇跡を伴って産まれた子。スクスクと育ってほしい」として心から喜んでいる。
「わが家にはすでに娘がおり、息子を授かった喜びを神様に感謝するのみ。これ以上の幸せはありません。不幸だなんてとんでもない。この子のありのままの姿を受け止めたいと思います」と赤ちゃんの父親であるビスワジット・パトロさん。満面の笑みで「興味深そうにわが子を眺めていく皆さんの相手をするのは大変ですが、こちらも大興奮です」と語っている。
この赤ちゃんは早老症のひとつとして乳児期から確認される「プロジェリア症候群」と診断されたとのこと。頭部が大きく身長、体重の発育は遅れて皮膚は老化が進み、脱毛や骨格・歯の形成異常が顕著になる。健常者にとっての1年は患者にとって10年分に相当するといい、骨粗鬆症、老化による目の病気、動脈硬化などと闘いながら残念ながら平均寿命は13歳であるという。
ヒト1番染色体上の異常特定遺伝子が原因となり、発現率は新生児4百万人に1人ときわめて稀なこの病気。家族内発症はほとんど認められていないため、現在では突然変異性の強い染色体異常の病気とみなされている。また脳・神経機能は正常に成長するため、患者が自分の置かれた過酷で数奇な運命を涙で語るドキュメンタリー番組が制作されることも多い。出生時に診断されない場合でも遅くとも生後1年までには異変が出現するという。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)