エセックス州ビラリキーに住む2児の母ルシンダ・スミスさん(43)は2015年3月27日、ガーデニングの最中に手の甲を掻いたことがきっかけで、その擦り傷が感染症を起こし敗血症に罹患した。
ルシンダさんにはメーガンちゃん(9)とジョージ君(6)という2人の子供がおり、婚約者のダレン・オニールさんとの結婚を心待ちにしていた。しかし2人で家を購入したばかりという昨年、悲劇は突如起こった。
ガーデニングの際についた、小さな手の甲の擦り傷が原因になろうとは思ってもいなかったルシンダさんは数日後、肩に痛みを感じるようになった。かかりつけのクリニックへ行ったところ、医師は痛みを和らげるための薬を処方し、理学療法士に会うように指示した。
3日後、ルシンダさんの容態が悪化。地元の緊急外来へ行き、血液検査をしたところ敗血症に感染していることが分かった。すぐに集中治療室で静脈内に直接抗生剤を入れる治療が施されたが、ルシンダさんはその2日後にトキシックショック症候群を起こし、息を引き取った。
姉のキャロラインさん(49)は「もし、ルーシー(ルシンダ)がクリニックの医師に診てもらった時に血液検査を受けていれば、こんなことにはならなかったでしょう。彼女の2人の子供たちも素晴らしい母親を失わずに済んだのです」と英紙『Daily Mail』に語っている。
また、ルシンダさんの母シャーリーさん(76)も「娘がクリニックで診察を受けたのは、いつものかかりつけの医師ではなく別の医師でした。その医師は、痛みを和らげて筋肉を緩和させるために娘に抗うつ剤を処方したんです。血圧すら計ってもらえませんでした。医師は患者にそうした検査をするべきです」とルシンダさんへの対応が不十分であったことを述べた。
シャーリーさんによると、ルシンダさんはその後、セカンドオピニオンを求めて別のクリニックへ足を運んだ。そこの医師はすぐにバジルドンにある緊急外来へ行くように指示し、病院で初めて血液検査と血圧測定が行われたところ、敗血症が発覚したのだ。
明らかに苦痛を訴えているにもかかわらず、最初のクリニックで適切な処置がされなかったことが、結局はルシンダさんにとって命取りになったのではと家族の悲しみは癒えない。
イギリスでは毎年、15万人が敗血症に羅患しており4万4千人の死亡が確認されている。これは、大腸がん、乳がん、前立腺がんで死亡した患者を足した数より多いという。
症状が普通の風邪に似た場合もあり、ルシンダさんのように、肩の痛みを発症したために手の甲の擦り傷が敗血症になる原因だとすぐに結びつかないというケースもある。
イギリスでは、NHS(国営保険機関)のヘルプセンター111へ電話をした際に、オペレーターが敗血症の兆候を見逃してしまい子供が命を落とすという悲しい出来事もあった。命の危険に関わる重篤な感染症であるため、この国ではさらに敗血症に対する医療スタッフの対応変更が注目されている。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)