「誤った診断により、私たちはあやういところで大切な命をひとつ失うところでした」と語るある母親。彼女は今、その腕に可愛い赤ちゃんを抱いている。一度は「心音が聞こえません。すぐに堕胎の処置が必要です」と宣告された赤ちゃんを、である。
念願の第二子妊娠も、ある日の診察で突然「胎児の心音が聞こえません。堕胎の処置に入らなければ」という辛すぎる宣告を受けたある女性。しかし彼女は中絶ピルの服用を拒み、再びの診察をと粘り続けた。彼女の勘は正しかった。胎児はちゃんと生きていたのである。
英ノーサンバーランド州出身で、ニューカッスルにて地域の介護福祉士として働いているヘイゼル・ウィギンズさん(36)。10歳の長男ディラン君の妹となる長女のアメリアちゃんを今年1月13日に「ロイヤル・ビクトリア診療所」で出産した。やや健康状態に問題があるものの、成長とともに徐々に改善されているという。アメリアちゃんに胎児死亡というとんでもない誤診があったのは昨年8月のこと。「ヘクサム・ジェネラル病院」での出来事であった。「正式な謝罪を病院およびノーサンブリア医療財団から受け、示談も成立したところです」として、彼女は英紙『デイリー・ミラー』の取材にこう語った。
「その助産師さんは30秒ほどの超音波診断(電子スキャン診断)で、“残念ですが赤ちゃんの心音が確認できません”と私に告げ、画面のスイッチを切ってしまいました。そんな短い時間で判断できるものなのか、そんなはずはないと私は言い張ったのですが、“間違いありません”と言うばかりで…。」
その日はあまりの悲しみに一晩中ベッドの中で泣いて過ごしたというヘイゼルさん。数日後、指示された通り再びその診察室へ向かうと、堕胎処置のために「中絶ピルの服用を開始して下さい」と言い渡された。しかしどうしても納得が行かない彼女はピルを飲むことを断固拒否。20分もの間あと一回超音波診断をしてみて欲しいと言い張った。彼らが渋々重い腰を上げ再びヘイゼルさんを診断。するとお腹の中で赤ちゃんは元気に動いており、かつて彼女に胎児死亡を告げた助産師は目を丸くして驚いていたという。この件を重く見た英・国民保健サービス(National Health Service)は、「ある時の超音波診断で胎児死亡が疑われても、必ず再度の診断を」と診断の指針を改定したそうだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)