このたびのエボラ出血熱のアウトブレイクにおいて、リベリアで医療行為ほかにあたっていた米国人3名が感染し1名が死亡していたが、残りの2名について容体がやや回復したもよう。まずは注目される33歳の男性医師が米国に帰国した。
リベリアの首都に派遣され、エボラ出血熱患者のケアにあたっていた米国人医療チームに感染者が確認された件で、回復傾向を見せている33歳の医師、ケント・ブラントリーさんが米国に帰国したことを複数のメディアが報じている。重度の伝染病患者を運ぶための完全密閉型コンテナを擁する特別輸送機がジョージア州のドビンズ空軍基地に着陸し、道路では前後左右に護衛の車がつくという物々しさであったが、アトランタの「エモリー大学病院」に到着すると、ブラントリー医師はなんと自力で救急車を降り、専門的な設備がそろった隔離施設に歩いて入った(画像はnydailynews.comのスクリーンショット)。治療はまだ続くという。
実はブラントリー医師、エボラ出血熱感染にも生き延びた14歳少年のたった1人分という貴重な血清を、自分ではなく同時期に感染したやはり米国人のナンシー・ライトボルさんに「譲りたい」と述べ、その気高い精神が大きな話題になっていた。ところがブラントリー医師の方が容体の回復が早かったのか、ナンシーさんの帰国は早くとも数日間後になるとのこと。そのため「いったい誰が血清の投与を受けたのか。“ヒト抗体”に大変な期待が集まっている重い病だけに、血清の投与の有無で回復にどれほどの差が出るのか」など疑問は多く、間もなく開かれるであろう会見に大きな注目が集まっている。
またこの医師の帰国が米国市民に事前に知らされていなかったこともあり、関係当局には「いよいよこの国でも感染が広がるのではないか」といった多くの電話、メールが入っている。これを受け、国務省のスポークスマンは「常に国民の安全と健康が最優先であると考え、あらゆる予防措置を講じた完全防備体制の中で輸送は無事行われました」と声明を発表するなど、国民の不安や動揺を抑えることに努めている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)