米国発!Breaking News

writer : tinsight-yokote2

【米国発!Breaking News】アメリカ食品医薬品局の保管庫から「天然痘」ウイルス株が発見される。

世界レベルでの撲滅に成功して以来、アメリカとロシアの専門施設で厳密な管理のもと保管されていたはずの「天然痘ウイルス株」。悪意の何者かにより盗まれ、ばら撒かれようものなら生物兵器そのものである。ところがこのほどアメリカで、そのウイルス株がとんでもない施設で発見され波紋を広げている。

強烈な感染力と全身を覆う膿疱、そして40%ともいわれた高い致死率。天然痘(てんねんとう)はかつて世界で5 億人もの死者を出し、人々を恐れさせた不治の病であったが、幸いにもすでに撲滅が宣言されている。これを経て、いざという時の研究が目的で天然痘ウイルス株を保管している施設は世界でも数えるほどになっていたが、このほどその株が米メリーランド州の「アメリカ食品医薬品局(FDA)」の保管庫から発見され、「なぜそんなものがここに」と動揺が走った。

ウイルス解析も済み、予防のためのワクチンも誕生し、恐れるような病ではなくなってきたとはいえ、発展途上国などでは容易にアウトブレークが予想され、多数の死者が出るであろう天然痘。『ワシントン・ポスト』紙は、管理主であるジョージア州アトランタにある米保健福祉省所管の感染症対策研究所「アメリカ疾病予防管理センター」がFBIに調査を依頼したことを報じているが、彼らの間で株の保管が粗末になっていたことは大問題。同センターでは定められた手順に従わなかった職員が炭疽菌にさらされるというアクシデントも過去に発生していた。

天然痘は1970年代に世界各地で撲滅に成功し、WHOが1980年に根絶を宣言。その後、「アメリカ疾病予防管理センター」と「ロシア国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センター」が株を保管すると決め、WHOはこれらの組織にも破棄するよう迫ったもののアメリカが強く反発し、現在に至っている。「誰がその株を隠し持っていて、いつ悪用されるか分かったものではない」と保管を主張したアメリカ。それ相当の重い責任を負っているはずである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)