体毛1本ない男子に脇毛が豊かな女子。それに対して「えっ!」という驚きがある限り、ジェンダーフリーの考え方は定着しないという米アリゾナ州立大学のある教授が、学生とともに意外な取組みにチャレンジしたとして話題になっている。
男女は常に平等、男だ女だと振り分ける社会の概念や常識にとらわれず、1人の人間として自らの能力を最大に発揮しながら自由に生きていこう。そんな「女性およびジェンダー学」を米アリゾナ州立大学で学んでいた(この春に修了)女子大生たちが、その期間において体毛のシェービングをやめていたことを学報で明らかにした。
「女性およびジェンダー学」の授業で、なぜあなたたちは懸命にシェービングをするのでしょうかと問いかけたのは、同大学のフェミニスト研究センター長で、フェミニズムに関する数々の有名著書を持つブレアン・ファーズ教授。「女性に脇毛やすね毛が生えているのはおかしい、剃るのは女性としての常識だというのであれば、それはジェンダーフリーの目指すところとはかけ離れている」というファーズ教授は、女子学生たちに「今後10週間シェービングをやめたらご褒美の単位をプラスしましょう」と提案。また男子学生に対しては、首から下の毛を剃ることを条件とした。単位欲しさもあって、学生たちは喜んでこれに従ったという。
そんなひとりであるステファニー・ロビンソンさんは、学報の編集部員とのインタビューで「私の脇の下のニオイが気になるのか、友達は私と並んでエクササイズをしたがらないし、母なんて“まさかその脇毛で純白のウェディングドレスを着るつもりじゃないでしょうね”と騒いでいた。これはもう人生観を変えるような出来事だったわ」と話している。学生らはその体験を通じて感じたことをレポートにまとめて提出したという。
たかが体毛とはいえ、女性が男性のような体臭を放ち、男性は女性が長年やってきたちょっと面倒な習慣を経験してみるのは新たな発見があるだろう。「男の子のクンづけ、女の子のチャンづけをやめます。女子に制服ズボンの着用を認めます」など世の中は動き始めているが、慎重論も多く非常に奥が深いといわれるジェンダー学。基本として求められているのは相手への思いやりや理解、歩み寄る気持ちと意外にもシンプルだが、生殖器や性ホルモンも異なる以上、男女の境界線を完全に取り払うことは難しいのが現状ではないだろうか。
※ 画像はcampusreform.orgのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)