店員不在の完全セルフサービスでありながら、地元の人々が憩いの場所として愛するカフェが米ノースダコタ州にあるという。代金の支払いもきちんとしたもので店内もキレイ。店主は正直者ばかりが揃う顧客たちが誇らしいと語る。
米ノースダコタ州バレーシティの街にある、赤い看板が可愛らしいカフェ“The Vault”。ここの特徴はすべてセルフサービスであること。自らの手でカップをおいてコーヒー、紅茶、ココア、ジュースなどを入れ、ペストリーやブラウニーなどを棚から自分で取る。続いては合計金額の支払い。クレジットカードをマシンにスライドさせる(画像はYouTubeのスクリーンショット)かキャッシュを投入するが、何を買ったかを書くメモとペンも用意されている。
店は昨年10月にオープンしたが、店員を雇ってその人件費を支払うことがない分お値段はリーズナブル。しかし店内に安っぽい雰囲気は一切ない。天井は高く床面積もけっこう広い。書籍が並ぶ本棚、2台のピアノ、ファンが回るシーリングライト、そして壁にかけられた絵画も趣味のよいコレクションで、利用客はこのカフェで過ごす時間をそれは楽しんでいる。普段は静けさを売りにしているが、毎週土曜日夜には大きな壁をスクリーンに見立てて映画の上映も。こちらは別料金だが、たった3ドルだそうだ。
「妻も私もきっとうまく行くと信じていた」と語るのは、店主のデヴィッド・ブレックさん。このビジネスの成功について彼は州のメディア『kvrr.com』に、「ここは人口6,000人ほどの平和な町、顔なじみばかりなんです。ここだから可能だったのでしょう」と語り、利用客の誠実さに支えられていると強調する。営業が終わってから売り上げが計算されるが、「毎日なぜか15%ほど多く支払われていることに気づくんです」とのこと。おそらくは、“信頼してくれてありがとう”という気持ちを込めたチップなのであろう。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)