2012年後半から、「巨大噴火はそう遠い話ではないのでは?」との不安が囁かれるようになっていた米イエローストーン国立公園。世界中から観光客が訪れるこの公園では先月から、野生のバイソンが逃げ出している。自然災害を前に動物に働く鋭い予感というものか。もしもここで巨大噴火が起きたら人類、世界に与える影響は計り知れないと専門家は語っているが…。
米ワイオミング州北西部(少しアイダホ州、モンタナ州にも)に位置する、世界最古の国立公園「イエローストーン」。筆者も6年ほど前に出かけたことがあるが、“Old Faithful”の名を持つ間欠泉、90度もあるまっ青な高温泉“Fountain Paint Pot”、ゴボゴボ、プツプツと音を立てて沸騰している泥池や湖、シューッという噴気孔、枯れ果てた木々、どれもこれも活火山の真上にいることを感じずにはいられないものであった。
そしてこちらの画像は、3月中旬にYouTubeに投稿された公園内の様子を捉えた動画のスクリーンショットである。イエローストーン川を挟む草原地帯に暮らす野生のバイソン(バッファロー)たちが地震を怖がり、小高い丘から群れをなして降りて来て車道をまっしぐらに逃げていくというものだが、公園の安全を守るレンジャーらは観光客に「大地震や噴火が起きる可能性が囁かれていますが、まだずっと先のことですからご安心を」と必死に呼びかけていたそうだ。しかし約2週間後である30日、もっとも火山活動が活発だといわれている高温泉「ノリス・ガイザー」付近でマグニチュード4.8の地震が発生。夏の観光シーズン到来を前に不安材料を提供した感じがある。
イエローストーン国立公園のあたりでは、過去210万年の間に3度の巨大噴火(スーパーボルケーノ)があったと見られており、2000年を過ぎたころから「近い将来また噴火する」と予想されるようになった。近年では地面の急激な隆起も確認され、ここの火山活動についての専門家であるユタ大学のボブ・スミス教授は、「この隆起のスピードは異常。もしもここで巨大噴火が起きた場合、全地球規模で深刻な被害を受ける。半径1000km以内の多くの人々がガスで窒息死するほか、大量の火山灰が米国の大部分を覆い、ヨーロッパにも降り注ぎ、地球は急激に冷える」との見解を示していた。小規模噴火にとどまることを祈るのみである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)