南アフリカで実施されている注目の裁判のひとつは、義足のランナー、オスカー・ピストリウス被告のガールフレンド射殺事件。そしてもうひとつ重大な事件とされる、2010年に起こった『新妻依頼殺人事件』の裁判が始まった。
2010年11月、イギリスで結婚式をあげ、南アフリカのケープタウンに新婚旅行に来たカップル。しかし、レストランで食事後にタクシーを乗っ取られ、夫は無傷で解放されたものの、妻は翌日タウンシップに放置された車内で射殺体となって発見された。だがこれは実は被害者を装った夫が妻を殺害するよう頼んだ偽装事件だったことがわかった。夫はイギリスに帰国後に逮捕されたが、精神疾患にかかっているとしてなかなか南アフリカへ送還されなかった。一方、実行犯の南アフリカ人男性は南アフリカで一番重い終身刑に、さらに事件に関わったとされる2名の南アフリカ人も刑務所にて服役している。
そしていよいよ渦中の首謀者である夫、シュリエン・ドゥワニ(Shrien Dewani)被告がケープタウンに送還されてきた。その護送におよそ290万ランド(およそ2820万円)を費やしたと法務省が4月8日発表した。
ドゥワニ被告は、イギリスのブリストル国際空港からケープタウン国際空港まで、チャーター便で護送された。法務省によると、チャーター便には南アフリカ人医師、看護師、南アフリカ警察官、インターポール職員がドゥワニ被告とともに搭乗した。これほどまで厳重に保護された形で被告が護送されたのは理由があった。身元引渡しの聴取を行ったとき、ドゥワニ被告に自殺志願傾向があったため、民間航空機ではすでに有名になっている被告の警備に限界があると判断してチャーター便に決定したという。
到着した日の午後に行われた裁判所に現れたドゥワニ被告は、ダークグレーのスーツに黒のネクタイ、ボサボサの髪で出廷、裁判官らから言われたことが聞き取りにくかったようだ。被告は無罪を主張、裁判は5月12日に改めて行われることとなった。裁判後、ドゥワニ被告はフォルケンバーグ病院に搬送、保護されている。
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(TechinsightJapan編集部 FLYNN)