2009年にチンパンジーによる激しい攻撃を受け、身体に著しい障がいが残った60歳の女性が、「一生安心して暮らしていくための保障が必要。州に153億円の損害賠償を求めたい」とする陳情を米コネチカット州議会で行った。
米コネチカット州フェアフィールド郡スタンフォードで2009年、友人が飼育していたチンパンジーに襲われて視力と両腕を失ってしまった、シャーラ・ナッシュさんという60歳の女性。チンパンジーが檻から出てしまったために戻るよう促したところ、激しい攻撃を受けて上半身にひどい傷を負ったのだ。介助なしでは行動が取れない状況にあり、顔面はこれからも皮膚移植手術が続くという。
そんなナッシュさんは21日、本会議前の州議会に登壇して「顔面皮膚の移植手術、義手など今後の医療費はかなりの額になる予定で、安心して余生を送るためには150ミリオン・ドル(約153億円)が必要。州にそれを保障して頂きたい」と陳情した。ナッシュさんは昨年6月、州を相手に損害賠償を求める訴えを起こしていたが訴状は却下に。これに同情した州議会のある委員長が今回ナッシュさんのためにひと肌脱いだ次第だが、請求額が非常に高いこともあって議員や法の専門家らの心をつかむには至っていないという。
ナッシュさんが州を訴えた理由は、非常に凶暴で噛まれると細菌感染のリスクが高く、一般人には難しいはずのチンパンジーの飼育を州当局が放置していたこと。市民の公衆衛生と安全の確保を怠っていたと強く批判している。チンパンジーの飼い主であった友人のサンドラ・ヘラルドさんは2010年に死去。その遺族からは精一杯の保障があったといい、不足している部分を州当局に求めたいとしている。なおHIVウイルス感染によるAIDSは、チンパンジーからヒトに入り込んだことが発症の起源だと言われている。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)