現役としていまだ精力的な活動を続けている、英ロックバンド『ローリング・ストーンズ』のメンバーらは今、中国政府の検閲の厳しさに「いい加減にしてくれよ」と嘆き、あるいは呆れている。またしても“あの曲は演奏するな”との禁止令が出てしまったのだ。
政府が人々に共産主義の考え方を押し付ける中、若者の知識や意識の西洋化は進む一方という昨今の中国。新しい文化や芸術になかなか理解を示そうとしない中国政府のあり方には、国内でもかなりの歪みが生じていると言われる中、英ロックバンド『ローリング・ストーンズ』の中国公演がマカオ(9日)と上海(12日)で行われ、どちらも満員御礼となった。
ところが、またしても検閲官により彼らは1969年の大ヒット曲『ホンキー・トンク・ウィメン(Honky Tonk Women)』の演奏を禁じられてしまった。ホンキー・トンクとはカントリー音楽の生演奏のもと、男女が飲んだり踊ったりを楽しむ酒場のこと。この曲は失恋した男が癒やしを求めてそこを訪れるという内容だが、問題があるとすれば「その女(bar-room queen)は俺とイイことをしたくて2階に行こうと誘うんだ」、「女は俺に優しくしてくれて、ついでに気持ちよくさせてくれた」程度。もっともこの場合の“queen”はオカマであった可能性も高い。
この件についてミック・ジャガーは12日、「メルセデス・ベンツ文化センター」での上海公演を終えたところでTwitterを通じてメッセージを発信した。「僕たちはホンキー・トンク・ウィメンの演奏を中国政府により禁じられてしまったんだ。こういう雰囲気の曲は、これまでにもたくさん演奏してきたんだけれどね」とし、理由については触れなかった。彼らは2006年に初の中国公演を果たしたが、検閲当局はこの曲だけでなく『ブラウン・シュガー』などの数曲を、歌詞が卑猥だとして演奏を禁じていた。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)