PM2.5による大気汚染問題で、世界の人々が中国への出張や長期の赴任を嫌がっていることが伝えられて久しい。こうなると人材を確保したい企業に求められるのは高い賃金による保障。日本のパナソニック社も例外ではなかったようだ。
微小粒子状物質PM2.5による大気汚染がますます深刻化する中国では、「肺がん死はイヤだ」として、北京や上海からビジネスマンが次々と国外に逃げ出している。それは旅行客の数にも顕著に表れており、2013年1月~11月に中国を旅行で訪れた日本人は20%減であったそうだ。そのような中、2014年の春闘で数年ぶりにベースアップの回答があったパナソニックが、中国に赴任する日本人従業員を対象に“大気汚染特別手当”の支給を決定。その金額や人数など詳細に注目が集まっている。
治安の悪い国、過酷な環境や開発途上の国への赴任に対する手当はかねてから存在したが、「中国の大気汚染が健康に与える影響は深刻」との理由から特別手当が支給されるのは、海外の民間企業としてはこれが初めての取り組みとのこと。世界各国の外務省は次々と在中大使館の職員を対象とした“危険手当”の支給を始めており、パナソニックもそれに続いたとなると、他の企業にも大きなプレッシャーがかかることは必至であろう。
春からは消費税率のアップで、家電など値が張るものへの購買意欲がガクッと下がると言われているだけに、人件費の高騰は非常に頭の痛い話だが、どの企業も中国工場の生産力と安価な労働力が頼みという今の状況を簡単には打破できずにいる。また中国政府も様々な取り組みや計画を発表しているが、工場のばい煙に併せ、石炭燃焼炉や自動車保有台数の激増など、PM2.5の問題解決はまだまだ前途多難という感じである。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)