カサカサであったり粘っていたり、人種や遺伝によってもタイプが色々とあるのがヒトの耳垢だが、これについての分析研究を進めてきたある研究所が、「耳垢によりセクシュアリティも分かります」と発表し、話題を呼んでいる。
ヒトのアイデンティティについて、医学上かなり多くの手がかりとなり得るのは血液と尿。しかし、脇の下の汗や耳垢といった分泌物も忘れてはならないらしい。米ペンシルベニア州フィラデルフィアにある「Monell Chemical Senses Center(モネル化学感覚研究所)」が、ヒトの耳垢を細かく分析することで、その個人についてかなりの情報がつかめるという事実を発表した。
同研究所は以前にも、脇の下の汗の量や臭いは人種や遺伝に大きく左右され、その成分には性別、セクシュアリティ、健康状態などを含む、個人を特定する非常に多くの情報がつまっていることを突き止めていた。研究チームはさらに、最新分析技術をもって同じことを耳垢で実験してみたという。白人8人、東アジア人8人という16人の健康な男子を集め、それぞれから採取した耳垢を加熱することで、そこに含まれている揮発性有機化合物(=臭気成分VOC)12種類について分析したところ、11種類において白人の方が東アジア人より圧倒的に大量であった。そのため「臭いの質は似ているようでも分析してみると多くの違いに気付かされました」と説明している。
また耳垢を構成している成分から、人種ばかりかその人の食事の傾向や環境を推測することができ、耳垢に含まれる脂肪分を分析することにより、「メープルシロップ尿症」および「アルカプトン尿症」といった代謝性疾患をスクリーニングすることが可能だとも発表。これまであまり関心を持たれることがなかった脇の汗、耳垢といった分泌物からも実に多くの情報を引き出せるとして、「まだまだ未知の世界。これらの分析の研究はまだまだ続きます」とまとめている。血液や尿を採って分析する従来の検査より手軽な方法ということもあり、おおいに期待したいところである。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)