南カリフォルニアのハイウェイでこのほど、消防隊員がハイウェイパトロール隊員により手錠を掛けられるという極めて異例のトラブルが発生。現場にいたメディアのビデオがその様子を捉えて公開し、物議を醸している。
4日夜9時ごろ、カリフォルニア州サンディエゴ郡南岸のチュラビスタで自動車事故が発生。『CBS 8』にニュースを提供しているKFMB-TVが、その現場で大変興味深い映像をキャッチしたとして公開した。画像の右手はチュラビスタ消防署から現場に急行した隊員のひとり、ジェイコブ・グレゴアーさん(36)。カリフォルニア州ハイウェイパトロール隊(以下CHP)の隊員と激しく争った後、彼の手は後ろに回り手錠をかけられてしまったのだ。
現場に後から到着したパトロール隊員は、救急および消防車両が高速走行車線を塞いでいると判断して3台の移動を要請。2台が応じたが、 1台が拒否したことからトラブルは始まった。勤務歴12年半という救急隊員のジェイコブさんは、「事故の負傷者の救助作業の方が先。車両の移動はその後だ」と主張。これにより両者は激しい口論となり、ジェイコブさんは手錠をはめられたまま30分ほど現場での取り調べを余儀なくされ、公務執行妨害にあたるとしてカンカンだ。
しかし市民の安全な暮らしを守るために警察官および消防隊員に求められるのは、メンツの維持よりも、スムーズな救助活動のための協力と連携の心がけである。5日、CHPと消防署の各代表者らは会合を開き、こうした状況の改善を念頭に改めて意見を交換し、「最高レベルの市民サービスを提供するという共通のミッションを再認識し、CHPとチュラビスタ消防署は互いに最大の敬意を払い、しっかりと協力し合っていくことを約束します」との声明を共同で発表した。
こうしたトラブルを複数見てきた専門家は、『CBS 8』に「両者ともそれぞれの立場と使命にのっとって仕事をしており、どちらも間違ったことをしたとは思いません。緊急事態といっても現場の状況は毎回異なり、警察と消防隊員の間にはどちらが優先されるといったルールやガイドラインは通用しません。ただ協力しあうのみでしょう」と解説している。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)