ギャンブルで大儲けした者がタクシーを利用し、その座席に大金の入った包みを置き忘れるという失態が稀にあるラスベガス。このほど『Las Vegas Review-Journal』紙が、置き去りになったお金をその持ち主に返そうと真面目に対処したタクシー運転手の正義感を報じ、人々に感銘を与えている。
海外の多くの国で、タクシーの乗客の忘れ物はまず戻って来ないと言われている。運転手が忘れ物に気が付かず、次に乗った客が持って行ってしまうことも多いが、そんなモノはなかったと運転手がうそぶくこともままあるとも言われる。そのような中、このほどラスベガスである運転手が見事な正義感とプロ意識を見せ、大きな話題となっている。
ラスベガスで「Yellow Checker Star Transportation」社の黄色いタクシーを運転して13年になるヘラルド・ガンボアさん。23日のこと、彼のタクシーに乗った客から「チョコレートの箱かな。前のお客さんの忘れ物だよ」と茶色い紙袋を渡された。信号待ちになった時にその袋を開けたガンボアさんは息を呑む。現金で30万ドル、100ドル札が100枚という束が30も入っていたのだ。ガンボアさんはすぐさまその客にこう告げた。
「中身はすごい大金でした。私はタクシー会社と警察にただちに連絡をとりますから、あなたはどうかこの件についての証人になってください。」
その後あるポーカープレイヤーから警察とカジノ事務局に紛失届けが入り、数時間を経てお金は無事に戻った。だが驚くことにガンボアさんへの謝礼はナシ。しかしガンボアさんはこの会社の“2013年の最高のタクシードライバー”に選ばれ、1,000ドルの報奨金とレストランでのペア・ディナー券を受け取り、「それだけで十分満足。お礼なんて不要です」と話している。
またその正義感に関しても、ガンボアさんは「私と私の家族の名誉を大切にしたいと思うからです。タクシードライバーとしてのプライド、会社の評判、ラスベガス全体の印象などを落とすわけにはいきません」と話すなど、人としてプロとして実に見事である。日本のタクシー運転手や乗客は「そんなの当然」と言うのであろう。だが海外では、それがなかなか出来ない人が実に多いのだ。この話はネバダ州を中心に大きく報じられ、人々の心は清々しい思いに包まれたようだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)