飛行機で提供される機内食は、連日似たり寄ったりの食材を使用しているだけに、乗員を非常に飽きさせてしまうものらしい。パキスタン国際航空のパイロットがこのほど、「最近のランチはひどすぎる」といった理由でストライキさながらの行為に出たことがわかった。
乗客乗員の大切な命を預かるパイロットという職業。安全で快適なフライト、そしてオンタイムの到着を強く心がけて日々の任務にあたっているはずである。だが中には機内食に対するあまりのウンザリ感から、こんなトラブルを起こしてしまうパイロットもいるようだ。
パキスタンの『The Nation』紙が、アラマ・イクバル国際空港で起きたパキスタン国際航空(PIA)ニューヨーク行きフライトPK-711便の離陸が2時間半も遅れたのは、Noushadという機長による人的トラブルだと報じている。機長は飛行機に機内食を搬入するケータリング会社の職員を捕まえて、「私はこんなモノは食べたくない。お気に入りの具材を使ったサンドイッチが食べたい」と強く要請したためだというのだ。
実はパキスタン国際航空、国営の航空会社としてかつてはアジアの主力エアラインのひとつであったが、燃料費の高騰と他社エアラインの台頭により業績が悪化し、近年は300億円に迫る赤字経営で苦しんでいた。パキスタン政府は株の売却などその民営化に向けて今年の秋から本格的に動き始めており、コスト削減策として11月25日からは国際線の機内食のグレードを下げ、昼食のサンドイッチがピーナッツ、クリスプ、あるいはビスケットなどへと変わっていた。
ケータリング会社の職員は、このワガママ機長に「特別な注文は前もってしておいて頂かなければ。贅沢なサンドイッチなら5つ星のレストランでどうぞ。何ならご案内しますよ」と返事し、機長も「ではそうしてもらおうじゃないか」。こうして機長は市内の超高級レストランに向かい、そこでお気に入りのサンドイッチをこしらえてもらうと改めて飛行機へ戻って行ったという。
このスッタモンダにより、午前6時45分に離陸予定であったはずのマンチェスター経由ニューヨーク行きのフライトは9時15分の出発にズレ込んだ。まったくの早朝から身勝手な主張を繰り広げた機長に周囲はひどく困惑。もちろん最も迷惑を被ったのは乗客たちである。乗継便や到着後の予定が大幅に狂ってしまったと彼らはカンカンだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)