残念ながら「アイソン彗星」は12月の世紀の天体ショーを前に、すでに小天体としての一生を終えてしまったもようだ。昨日までは“崩壊の可能性もある”というものであったが、NASAは今、この彗星の核の消滅を伝えている。
今世紀最大の彗星といわれ、12月に観測の本番を迎えると期待が高まっていた「アイソン彗星」。日本の29日未明に太陽に最も接近するとみられたこの彗星について、残念な知らせをNASAが発表した。少し前から心配されていた自然崩壊の可能性を、これまでの“崩壊したかもしれない”という表現を“したに違いない”に変更したのである。
米国の25日、NASAの科学者らは「この彗星の核がすでに崩壊している可能性がある。小天体としての一生を終え、膨大な量の塵を放つのみとなっているのではないか」と発表。太陽に近づきすぎたことも重なって、その後彗星の放つ光は一気に弱まり「太陽の影響を受けず無事に通過して欲しい」と誰もが祈るような気持ちで見守っていた。そのような中で、欧州宇宙機関とNASAの共同開発した太陽および太陽圏の探査機“SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)”が、細々とではあるが小天体として生き続けているアイソン彗星の存在を衛星画像で証明するも、科学者らは楽観視できないとしていた。
そしてNASAは今、太陽観測機“SDO(Solar Dynamics Observatory)”が28日に送ってきたデータをもとに、「あらゆる角度から見ても彗星の存在を感じられなくなった。立証は難しいものの、アイソン彗星は太陽に最接近する手前で小天体としての一生を終えた、と考えることが妥当であろう」というNASAの科学者ディーン・ペズネル氏の見解をトップニュースとして伝えている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)