日本でも昨今は街のあちこちに「監視カメラ」が設置され、犯罪防止あるいは事件の解決に役立てている。しかしこれだけ人々に知恵がついている時代、「カメラ」の形をしない監視システムも必要になっているもよう。ラスベガスで興味深い試みが始まった。
街中を歩いている時に一番見かけるもののひとつが街路灯である。その街路灯の全てにセキュリティシステムが盛り込まれているとしたら、人は悪いことなどしなくなるであろう。だが最近の監視システムはそれ以上で、音をも監視してしまう。歩きながら悪企みなどを相談しようものなら、ほどなく警察官が飛んでくる仕組みになっているそうだ。
アメリカは車社会であるとはいえ、ネバダ州ラスベガスの大通りであるラスベガス・ブルバードの最も栄えた中心部、“ラスベガス・ストリップ”では連日連夜たいへんな数の通行人が往来する。カジノホテルが放つ華々しいネオンも眩しいため、街路灯など本来なら要らない不夜城のその世界に、ラスベガス市はほぼ等間隔で“最新兵器”と呼ぶべき監視システム付き街路灯を設置し始めた。見た目はLED街路灯で、音楽、街のメッセージ、天気や気温をも案内する多機能ライトである。しかしそこには最新式の監視カメラが埋め込まれ、マイクによって音や通行人の声が録音される。逆に通行人が何かの情報を伝えることがあるかも知れない。そうした情報はワイヤレスで監視室に送られるという。
また、現在使用されている街路灯に監視システムの機能を付け足すというタイプのものも製造されており、そちらはiPadあるいは同様のデバイスがあれば誰にでも管理できるとのこと。ラスベガスの事例が成功となれば、製造メーカーは全米の市町村や警察署に売り込みをかけるのではないだろうか。この街路灯の設置について、ラスベガス市の職員は『MyNews3』の取材に「とりあえず今のところ音声の録音はしない予定です」と語っている。だが米国国家安全保障局(NSA)が各種の盗聴行為を行っていたことに驚きを隠せない市民たちからは、「これはストリートライトならぬストリートスパイだろう」と嘆く声もあがっている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)