セレブや政府関係者の経済状況や個人情報を何者かが不正に把握し、インターネットに流出させるという事件が今年の春に起きていたが、その犯人がようやく捕まった。なんとハッカーは19歳の少年であった。
今年3月のこと、ロシアのドメインを用いた奇妙なウェブサイトが誕生し、ハリウッド俳優、歌手、アスリート、大富豪、有名政治家等々もう驚くような著名人の名がずらりと並べられ、その住所や電話番号、資産、クレジットカード、各種ローンの利用履歴が丸裸にされてしまった。恐ろしいことにハッカーは社会保障番号や銀行口座についても完全に把握していたのだ。
そのような重要な個人情報をインターネットに晒されてしまった被害者は、セレブではビヨンセ・ノウルズ&Jay-Z夫妻、ブリトニー・スピアーズ、パリス・ヒルトン、アシュトン・カッチャー、キム・カーダシアン&クリス・ジェンナー親子、メル・ギブソン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ハルク・ホーガンに、「ミス・ユニバース」を主催する実業家のドナルド・トランプなど。
また大物政治家も例外ではなく、ジョー・バイデン副大統領、アル・ゴア元副大統領、ミシェル・オバマ米大統領夫人、ロバート・ミュラーFBI長官、ヒラリー・クリントン前国務長官らの名が確認され、FBIは強い苛立ちとともにハッカーの検挙に全力をあげて立ち向かうと宣言していたが、解決まで半年近くかかったことになる。
そのサイトにあったTwitterのアカウントでは、プロフィールをロシア人風に装っていた犯人だが、このほどフロリダ州レイク・メアリーにて「シークレットサービス」の捜査官により逮捕されたのは、19歳のアメリカ人ルイス・フローレスとそのルームメイトだというカイア・グリーンであった。
フローレスは「アメリカン・エキスプレスカードなんて、社会保障番号さえ添えればその銀行口座を使ったクレジットカードを僕に発行してくれる」などと説明しており、FBIはそのハッキングの情報を入手するとすぐに金融機関や本人たちに警戒を呼び掛けていたが、実際クリス・ジェンナーの口座からは7万ドルもの額がフローレスに送金されてしまったという。
ようやく犯人2人が留置場に入れられ、情報が詰まったUSBフラッシュドライブが押収されたが、そのデータの複製がなされて異なる悪意の人物がそれを利用しないとも限らないこうした事件では、犯人が捕まっても「ひと安心」とはならないのがつらいところ。FBIと悪知恵が働くハッカーとの戦いは永遠に続くものと言わざるを得ない。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)