給料の支払いが滞り、墓の穴を掘る人たちが仕事をしなくなってしまった。墓穴を掘る業者と契約しているツワネ市都市圏が支払いをしないというあり得ない状況に、裁判所が命令を出す事態となった。
3月末以降、プレトリアを含む自治体からなるツワネ市都市圏と契約している墓掘り業者がストライキに入っている。そのため、親族を亡くした遺族が墓を掘る羽目になっているのだ。
ツワネ市都市圏と墓掘り業者との契約は今年の3月末に終了したのだが、墓掘り業者への支払いが数か月以上行われていないために次年度の契約をせず、ストライキに突入したとのこと。南アフリカ葬儀社協会は「葬式は延期ができない。葬儀社スタッフが早くに墓へ行き掘らなければならない。また棺を穴に収めた後、悲しんでいる遺族が穴に土を戻さなければならないことにもなる」と懸念している。
南アフリカでは火葬もあるが棺のまま地中深く埋葬する場合が多く、そうなると墓穴を掘るだけでも大掛かりな作業となる。ある葬儀社は4月3日に行われた葬儀で墓穴が掘れないため、墓地に遺体を放置している。墓掘りのひとりは次の契約が行われるまで残ってくれることに承諾をしたが、3か月も給料が支払われていないため後日拒否した。
先週、妻を亡くした男性(61)は、西プレトリアにある墓地に妻を埋葬するため自分で穴を掘らなければならなかった。「葬式で気持ちが沈んでいるときに、墓を自分たちで掘れと言われたことに対して非常に憤慨している」と男性の甥は述べている。しかも自分で墓を掘ったというのに、「墓穴料」として757ランド(約8000円)を払わされてしまったそうだ。
ところがツワネ市都市圏はストライキの事実があることは認めたものの、驚くべき回答があった。なんと「一般市民が墓を掘ることは認められていない。違法にあたるので自治体に報告しなければならない」とのことだ。行政が掘ってくれない墓穴を親族が掘ると違法になるという、どうしようもない状況になっている。
4月3日、南アフリカ葬儀社協会は北ハウテン高等裁判所へツワネ市都市圏に墓掘りに関する問題を速やかに解決するよう訴えた。翌4日、裁判所はツワネ市都市圏に対して、墓掘り業者と契約するように命じている。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)