母親や姉妹以外の女性の裸の写真(映像)を初めて目にする。この経験は思春期の男の子の心理にどのような影響を与え、行動面にどのような変化をもたらすのであろうか。そう真剣に調査しようとしたのはカナダ・モントリオール大学の専門家チームであった。しかし…。
異性を意識するようになった思春期の男の子たち。そんな年頃の息子を持つ親なら誰もが、ポルノ閲覧に夢中になったら成績が落ちて自室に閉じこもりがちになりそう、性格や素行にも思わぬ変化が現れるのではなどと心配するもの。わが子のPCの閲覧状況を監視し、「フィルタリング」で有害サイトをブロックしているというご家庭も多いはずだ。
実際、ドイツのデュイスブルク・エッセン大学の性医学研究チームは少し前に20代男性を集めてスライドショーを見せる実験を行い、日常の他愛ない写真にヌード写真を交ぜたときだけ、思考回路や短期記憶力に良くない変化が現れるという結果を発表した。
これでは、「わが息子を出来るだけ長く無垢な状態に置きたい」と親が考えるのも無理はない。そこで、初めてヌード画像(映像)を閲覧した少年がその後にみせる心理、行動面での変化をビフォーアフターで比較してみたいと研究に乗り出したのは、カナダ・モントリオール大学のサイモン・ルイーズ・ラジュネーゼ教授とそのチームであった。
だが教授は今、「研究は成功しなかった」と苦笑している。理由は未成年者に「君はヌード写真(映像)を見たことがある?」と問いかけること自体が法に触れるため、調査対象はおのずと18歳(州により19歳)以上の男子ばかりになり、ヌードなんて見たことがない、つまり“ビフォー”段階の少年に巡り会えなかったというのだ。
しかし研究チームには収穫もあった。今回の聞き取り調査により、男子がはじめてそうしたものを見た時の年齢は平均10歳であったこと、シングルの男性は約40分間のポルノ閲覧を週に3回楽しみ、セックスパートナーができると週2回約20分間ずつに減る、そんな新たなデータが得られたそうだ。
ここで思い出すのは、タイガー・ウッズがエリン夫人に離婚を突き付けられたあの騒動で有名になった、「セックス依存症」なる言葉。「何をもって度が過ぎている、病のレベルと判断するのか」と男も女も喧々囂々大騒ぎであった。“パートナーがいても週2回約20分間までのポルノ閲覧ならフツー”ということが今回の調査で分かった次第だが、生活の中でそれを堂々とやってよいかというとまた別問題。パートナーに見つかったら、「毎日何時間もこんなことをしているんでしょ!」と吊るし上げられる危険が大である。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)