警察署に泥棒が入り、好きなものを好きなだけ盗んだ挙句、警察車両まで簡単に盗み出すという事件が起こった。泥棒はあっさり逮捕されたものの、野党からは「警察署は犯罪者のショッピングモールだ」と言われるほど、お粗末なセキュリティ事情が明らかになった。
1月20日、ダーバンにあるベレア警察署に泥棒が入った。個人情報や機密情報などが入った大量のコンピュータ、携帯電話、防弾チョッキ、ペッパースプレーなどが盗まれた。泥棒は18歳と39歳の男で、盗んだものを警察車両に詰め込むと車の鍵も盗んで逃走。盗んだものを自分たちの家に置くと、警察車両をキング・シャカ空港に乗り捨てた。
その後、警察はGPSシステムで車両を追跡して泥棒の家を見つけ、乗り込んで逮捕した。盗んだものは全て押収した。
警察の迅速な逮捕劇の一方で、見過ごしてはならないことがある。「なぜ警察署に泥棒が入ったのか」という点だ。警察官、捜査員らは常に機密事項、重要書類、銃器、証拠物件などを扱っている。警備が重要なのは当然のことで、部外者の侵入はあってはならないことだ。しかし泥棒はいとも簡単に署内へ入り、警察車両まで盗めたほどの容易い作業だった。なにしろ警察関係者曰く、玄関の鍵を壊せば署内どこでも入れるという手軽さなのだ。
警察署内でも、「バーグラーバー(窓や扉などにつける開閉可能な鉄格子)や警報システムもなく、警備員すらいない」とセキュリティの脆さを嘆いている。南アフリカの警察署は公共事業省が管轄しており、今回泥棒に入られた署もそのひとつ。築20年以上というこの署の安全面については州警察署長が何度も要請していたが、公共事業省は予算が厳しいとして受け入れてくれないそうだ。
この署で最後にセキュリティ強化を公共事業省に要請したのは2012年5月、署敷地内のガレージにホームレスが寝ていたのを発見したことによるものだった。しかしこの要望も、予算がないということで無視された。
野党DAは「警察署はセキュリティが最も厳重であるべきで、そうでなければ銃が市場に出回るおそれがある。警察が自身を守れなくて、国民をどうやって守るつもりなのか。実際に警察署は犯罪者のショッピングモールのようになって来ている。警察に行き、欲しい銃や重要書類などを選べばいいだけだ」と警告している。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)