15日午後7時頃、新竹県新埔鎮のマンションで火災が発生し、5階に住む62歳の男性が死亡した。避難経路を塞がれた男性は5階の非常扉を開けて救助を待っていたが、到着した消防車のはしごは4階部分までの長さしかなく、救助マットも使えない状況だったため救助が遅れ、男性は見守る人々の目の前で焼死した。
『聯合新聞網』が報じたところでは、現場からもっとも近い消防署は700メートルの距離にあったが、火災のあったマンションは狭い路地で路上駐車が多かったために消防車の到着が20分遅れた。消防隊は火災現場に進入し救出を試みたが、ガス爆発による建物の崩壊で行く手を阻まれ、男性のいる非常扉に到達したときにはすでに死亡していたという。
火災現場を見守っていた人々からは「非常扉が開いて要救助者も見えていたのに、助けられないなんて」と、臨機応変な救出活動が行われなかったことへの批判が相次いでいる。これを受けて新竹県県長は16日、遺族を慰問し遺憾の意を示すとともに、消防局に対し消防組織の応急対応力を強化していくよう要求した。
また警察によれば、火災の原因は亡くなった男性の息子(32歳)による放火だという。息子の供述では、父親が月々の給料の一部を銀行の口座に入金しておいてくれるというので渡していたが、最近になって入金されていないことに気付き口論になった。腹を立てた息子は、階下に停めてあったバイクからガソリンを抜き取ると家のリビングにまいて火を放った。「ちょっと脅かすつもりだった。こんなことになるとは思っていなかった」と話している。息子は昨年3月から双極性障害を患い、薬を継続的に服用していたということだ。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)