ケープタウンのある大型雑貨ショップで客が驚き、店内は騒然となった。陶器のろうそく立ての中に本物のカエルがいたからだ。従業員はすぐに動物愛護団体(SPCA)へ通報した。
SPCAのマネージャー、ブレット・グラスビー氏は「国際的にはそれほど珍しくはない出来事」と語る。輸入木材からヘビ、果物からサソリ…などのケースはあるが、カエルは初めてだそうだ。
今回、カエルが入っていた商品は中国製のろうそく立てである。製造後、ろうそく立ては箱に梱包されたまま一度も開けられることなく中国からケープタウンの店まで運ばれてきた。製造のどの過程で紛れ込んだのかはわかっていないが、陶器を壊さないと取り出せない場所にいたという。
そもそもカエルは、乾燥を生き延びる適応能力がある。今回のカエルはこの能力を存分に発揮してインド洋の航海を乗り切った。
カエルは好ましくない状況下に置かれると、地下や岩の下などに隠れ皮膚は乾燥を防ぐために硬くなり、心拍や呼吸もゆっくりとなる。そこに水を与えると皮膚は柔らかくなり活発に動く。今回のカエルも水の中に入れたところ泳ぎだした。また、カエルは「トカゲからひな鳥までなんでも食べる」というほどの食欲を持つ。飢えていたであろうこのカエルは、SPCAスタッフがミミズやコオロギを与えるとひたすら食べ続けた。
長旅の疲れを癒したかに思われたカエルだが、その後悲劇を迎えることとなる。中国から来た外来種であるため、南アフリカの生態系を脅かす恐れもあり殺さなければならないのだ。
一般的にカエルは新しい病原微生物や寄生虫に非常に弱い生物であり、西ケープ州のカエルをそういったものから守るためにも、外来種は安楽死させるのが国際的に推奨されている方法とのこと。今回紛れ込んだカエルは絶滅危惧種ではなく、アジア各地に棲息しているそうだ。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)