人種や宗教というのは非常にデリケートな問題であって、発言には細心の注意を払わなければならない。男2人がイスラム教徒のヒゲを「ビン・ラディン」とからかい、頭部を殴って死亡させた事件が起こった。
8月6日ノースウェスト州で、モハンマド・カジさん(27)と友人がファストフード店で買い物をしていると、2人の男と言い争いになった。男らはカジさんのヒゲが「ビン・ラディン」だとからかったのだ。
カジさんと友人はイスラム教、殺害した男2人はアフリカーナーという白人。アフリカーナーは元オランダ系移民で、アパルトヘイト制度を推進した民族でもあった。アフリカーナーが話すアフリカーンス語で「カファ(kaffir)」というのは侮蔑の意味を込めた「黒人」や「異教徒」という意味。男2人はカジさんらに対して「ビン・ラディンみたいなヒゲをしている」「テロリスト」「カファ」などと言いからかった。
口論になり店を追い出され、言い争いはさらにヒートアップ、男らはカジさんと友人を殴りはじめた。友人は「言い争いをする意味がないと男らに言ったが、彼らは殴りかかってきた」そうで、友人は顔を殴られ気を失った。カジさんは頭部を何かで強く殴られたらしく、警察へ被害届を出しているうちに容体が急変、病院へ搬送されたが脳にダメージを受けており翌日死亡した。
8月13日、裁判所前には怒るイスラム教の人々が集まった。カジさんの家族や友人そしてマスコミらは被告と対面するべく、裁判が行われる部屋へと通された。しかし実際に被告の裁判が行われたのは通路を隔てた反対側の部屋だった。怒り心頭の家族に対して、警察は「被告の人定事項等の確認をする必要があったので別室で行った」とコメント。ある女性は「全イスラム教徒を怒らせた事件である。次回の裁判ではより多くの人々が集まるだろう。」と述べている。
さらに8月13日の報道によると、事件が起こった時、現場には警察官が2人いたという事実が判明した。その警察官らは「勤務時間外」だからということで、喧嘩を止めに入らなかった。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)