数日前からヨハネスブルグのギャラリーで公開されていたズマ大統領を描いた作品が話題になっている。ズマ大統領の下半身の一部が露出していたからだ。5月22日、その作品を破損した2名が逮捕された。
問題の作品はケープタウンに住む画家・ブレット・ムレイの展示会『泥棒への呼びかけII』で展示されていた、『The Spear』というもの。ソビエト連邦革命家ウラジミール・レーニンのポスターを模倣し、ズマ大統領が仰ぎ見るように立っている風刺画調の作品なのだが、なんと性器が露出しているのだ。ただの誹謗中傷的な作品で終わるかと思いきや、ズマ大統領のいる与党ANCは「人種差別だ」として作品を撤収するよう訴えを起こした。
このような騒ぎの中、さらに火に油を注ぐような事件が発生した。22日、1人の白人の男(58)がおもむろに“問題の絵”のズマ大統領の顔と性器の部分に赤いペンキで大きな「×」印を塗ったのだ。犯人の男は、品のよさそうなグレーのツイードジャケットを着た普通の姿であったという。平然と絵画にペンキを塗るこの男の奇行に、ギャラリーは最初何が起こったのかわからなかった。偶然にも取材で訪れていたニュースキャスターは「現実に起こっているとは思えなかった」とコメントし、その場で警備員に捕まえられた男にインタビューを始めた。
すると次に黒人の男(25)がやってくると、今度は黒いペンキを両手につけて円を描くようにズマ大統領全体を塗りたくった。駆けつけた警備員はかなり乱暴に男に頭突きをし、地面に叩きつけ逮捕した。逮捕されたこの白人、黒人の2人は警察へ連行され、ギャラリーは閉鎖された。
現在、この事件の一部始終がテレビに流れ、南ア人のもっぱらの話題となっている一方で、白人と黒人の逮捕の仕方があからさまに違うとして、「人種差別」問題にまで波紋を広げている。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)