シンガポールから南アフリカのゲームロッジに来た女性が、子どものライオンに噛まれ全身を60針も縫うという事故が起こった。幸い女性の命に別状はなかったが、女性に怪我を負わせたライオンの処遇について、ゲームロッジ側に思わぬ批判が寄せられている。そこには、人間の都合で様々なストレスを与えられている野生動物たちを取り巻く現実があった。
シンガポールからの旅行者が、ライオンの子どもに顔を噛まれるという事故が発生した。この旅行者の女性(28)は夫婦で南アフリカを2週間訪れ、5月13日に帰国する予定だった。最後に訪れたクルーガーナショナルパークの西に位置する『ツクドゥ・ゲームロッジ(the Tshukudu game lodge)』で悲劇は起こった。
夫婦はサファリを見るグループに参加、途中ライオンの子どもと一緒に写真を撮っていた。女性は1歳のライオンの横でポーズをとっていたが、そこでライオンが女性の顔に噛み付いたのだ。女性は顔の左側に深い傷を4箇所負い、ライオンが引っかいたために左腕と脚に裂傷を負った。幸運にも全ての傷が動脈をわずかに外れていたため、命に別状はなかった。ちなみにそのとき女性の夫は、カメラでライオンを殴って助け出そうとしていた。
女性は即、病院へと運ばれたが、合計60針を縫う大怪我となり、帰国は5月17日まで延期となった。ゲームロッジのマネージャーは、ライオンの子どもの処遇は事故の調査後に決定するつもりだと話した。
ところが、このマネージャーの発言が思わぬ波紋を呼んだ。その多くは「勘違いをするな」という怒りのコメントであった。「野生動物に近づくためのリスクを理解していないほうが悪い」、「(噛み付くのは)野生動物の本能であって、人間がどうこうする問題ではない」、「子ライオンの処遇よりも、ゲームロッジの処遇をよく考えろ」などいずれも辛らつだ。さらに、同じようなサファリを体験した人からは、「カメラ目線にさせるため子ライオンの顔をはたいたりしている人もいた。何時間もそのような扱いを受けている彼らがうんざりして噛み付くこともあり得る」との声も挙がっている。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)